「白鳥の湖」は何故こんなに魅力的なのか?① - 心・メンタルとダイエット - 専門家プロファイル

舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
東京都
クラシックバレエ教師・振付家

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対象:ダイエット

佐久間 健一
佐久間 健一
(ボディメイクトレーナー)

閲覧数順 2024年04月24日更新

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「白鳥の湖」は何故こんなに魅力的なのか?①

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前々回で「白鳥の湖」の話題を取り上げさせて頂きましたら、その反響が思いの他とっても大きかったので大変嬉しく感じ・・・、 (^^ ♡

又「そんなに皆様に喜んで頂けるならば・・・♡」と思いまして、今回のコラムでは「何故このバレエは時代を越えて、これほどまでに人々を魅了するのか!?」について、私なりに考察・解説して参りたいと思います。(^^ ♡

 

 

この「白鳥の湖」が  " クラシック・バレエの金字塔 "  とまで言われるまでの名作になったのは、やはり一番は天才作曲家チャイコフスキーの音楽の素晴らしさにあるでしょう!

 

けれど「白鳥の湖」のロシアでのデビュー初公演(ボリショイ劇場 1877年) は、無残にも大失敗に終わっている事は、バレエ界ではあまりにも有名なお話しです。《゚Д゚》!!

それはどうしてだったのでしょう?

 

 

彼は元々はバレエの作曲家ではありませんでした。

その為、彼は依頼を受けてバレエ作品を手掛ける様になってからバレエ音楽を勉強し始めた為(その時代のバレエを創る時の形式とか、踊り手が踊り易く、又観客が分かり易い様なテンポ・拍子・メロディーなどへの配慮の事など)、

彼の音楽は初演の時の振付家には「使用しづらい!」とあまり気に入られず、その振付家が他のバレエ作曲家の舞曲を取り入れたりした為に、初演は非常に平凡で平坦でつまらない「白鳥の湖」になってしまったと言われています。( ; _ ; )

(その後、別の振付家により再演された時の「白鳥の湖」でも、彼の音楽は作品の全体の四分の一くらいになっていたそうです)

 

 

当時のバレエは大衆向けに娯楽性が強く、単純で分かり易い軽いタッチのものが好まれていたのでしょうね~。

ですので、バレエを上演する時は、さほどストーリーの内容にも重点を置かず、単に踊りの連なりを楽しむ様な傾向が強かった為に、彼のあまりに重厚で芸術的な音楽がマッチしなかったので失敗に繋がったと思われます。

 

 

つまり当時のバレエ界が、まだチャイコフスキーの芸術的な音楽を理解するまでには来ていなかったという事でしょう。

 

 

その後、彼の「白鳥の湖」の音楽は、当時バレエの中心であったサンクトペテルブルクの帝室マリンスキー劇場の天才振付家マリウス・プティパの知る所となり、その音楽に高い芸術性を感じた彼は、

「 "白鳥の湖" 初演の失敗は彼の音楽にあるのではなく、それを理解できなかった者達によるものである。是非彼のオリジナルの曲を使用した「白鳥の湖」を、私の振付けにより上演してみたい」という手紙をチャイコフスキーに送ります。

 

 

それを読んだチャイコフスキーは大変喜び「自分の音楽がプティパの振付けで表現される事は、無上の喜びである。今後は彼以外の為にバレエの曲は作曲しないし、彼の為に良い音楽を書きたい」と友人に語っていたそうですが、

 

この様に皆が新しい「白鳥の湖」を、バレエの本場マリンスキー劇場で上演しようという計画を働きかけた矢先に、チャイコフスキーはコレラの為に急逝してしまうのです。

(つまり彼は大成功した「白鳥の湖」を観る事なく、他界されてしまったのですね~)( ; _ ; )

 

 

 

そしてその追悼公演として、まず最初にバレエ・ブラン(白のバレエ)として有名な第2幕を、プティパの弟子のイワーノフが振付けを担当し上演され(彼の追悼公演には時間が足りずに全幕は間に合わなかった為)、

大好評を得た後に、遂に1895年に今日古典作品として残っている「白鳥の湖」の原型となる完成品、全幕物(1・3幕はプティパ担当、2・4幕はイワーノフが担当で振り付けられた)の、大名作バレエが生まれます。

 

 

この成功の裏にあるのは、チャイコフスキーの音楽に高い芸術性を感じ深い感銘を受けた、こちらも大天才である振付家のプティパが、イワーノフという(これ又)天才的振付家の弟子と共に、

彼の音楽性にマッチする素晴らしい振付けでもって、全く新しい芸術の香り高い作品に生まれ変わらせた偉業です。

 

それが、今日まで伝統を誇るまでの芸術作品に成った歴史なのであります。☆彡

 

 

 

   「白鳥の湖」プロローグ

 

公女オデット・・・・・大園エリカ                                      悪魔ロットバルト・・・VARENTIN  BARTES(ルーマニア出身のソリストダンサー)

 

このエピローグの場面は、白鳥に姿を変えられてしまう前のオデットとそれを拐って呪いをかける悪魔ロットバルトですが、実はこの場面はプティパ・イワーノフ版では無かった場面です。

この場面は1953年にモスクワのダンチェンコ劇場で、ウラディミール・ブルメイテスという振付家が、改訂版として上演した時に初めて挿入されました。

 

このエピローグを加える事により、より観る側にストーリーが分かり易く演出されています。

 

(ブルメイテスはこれ以外にも、それまでディヴェルティスマン的(余興的)な要素の強かった第3幕の民族ダンスを "悪魔の手下の一行" として演出するなど、ストーリーをよりドラマティックに仕立てる事で、全体に筋の通る大胆な演出となり、大好評を得ました)

 

 

 

  「白鳥の湖」Act2

 

オデット・・・・・大園エリカ

 

主役のオデットは第2幕で初めて登場します。 

夜だけ人間の姿に戻る事を許されたオデットが、白鳥狩りに来た王子と初めて出会うのが2幕です。

 

 

 

   (同上)

 

オデット・・・・・・・・大園エリカ                                 王子ジークフリート・・・ILIR  KERNI(クロアチア・ザグレブ国立バレエ劇場プリンシパル)

 

自分の呪いを解く "真実の愛" を誓う王子とオデット姫の 愛のグラン・アダージョ。

とても有名なので、良くコンサートなどでも抜粋で踊られます。

 

 

 

  (同上)

 

オデットと王子を見守り応援する白鳥達とのアンサンブルも、2・4幕の見せ場の一つです。

 

 

 

   (同上)

 

オデット・・・・・・・大園エリカ                                    悪魔ロットバルト・・・VALENTIN  BARTES

 

この様にオデットは王子と会っている所を悪魔ロットバルトに見つかり、悪魔が二人の仲を引き裂く様にオデットを再び白鳥の姿に変えてしまい、第2幕は幕を閉じます。

 

 

(次回へ続きます)

 

 

 

 

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舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ

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長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年