米国経済7&8月号 - ライフプラン・生涯設計 - 専門家プロファイル

山本 俊樹
インテグリティ株式会社 
ファイナンシャルプランナー

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対象:家計・ライフプラン

伊藤 誠
伊藤 誠
(ファイナンシャルプランナー)

閲覧数順 2016年12月03日更新

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米国経済7&8月号

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  1. マネー
  2. 家計・ライフプラン
  3. ライフプラン・生涯設計
やさしい経済の話し 米国経済の話し

製造業の景況指数は一時的に上昇


米国の経済情勢は、最近発表された経済指標を見る限りにおいては、景気後退の証はなく落ち着いた状況を示している。しかし、内容的に楽観できるものではなく、また、金融システムは安定しているという状態には程遠い感がある。何度も述べている通り、サブプライム問題に端を発した金融システムの混乱は、格付けという長年にわたって信奉してきたシステムが崩壊している中にあって、この金融・資本市場の建て直しには長い時間を要するものと思われる。

さて、実際の経済指標を見ていくと、まず注目されるのが、6月のISM(サプライマネジメント協会)製造業PMI(購買部景気指数)であった。6月の数値は予想を上回る50.2と1月以来5ヶ月ぶりに好不況の判断の分かれ目である50を上回わり製造業部門の拡大を示した。ISMによると、50.2という数値は、実質GDP換算で+2.9%を示すとしている。一般に、リセッション(景気後退)時には、このPMIが44程度まで悪化するといわれているので、そのレベルを大きく上回っていることになる。

ただし、この要因を見ると、ドル安による輸出の好調さがかなり反映されている。さらに、このPMI指数の構成メンバーの80%が輸出業者であることを勘案すれば、一時的な動きと考えられる。現状では、ドル安による輸出の好調さよりも、ドル安による原油高、その結果、原材料価格の高騰が製造業を直撃しており、その悪影響の方が強くなってきているためである。

住宅市場の混乱は続く


問題の住宅市場はどうであろうか。5月の中古住宅販売は年率499万件と、前月比+2.0%とわずかながら上昇した。しかし、新築住宅販売は、前月比▲2.5%といまだマイナスが続いている。
住宅価格の下落による値ごろ感からの中古住宅の買いは入るものの、資金負担の大きい新規住宅にはまだ向かっていないというところである。
住宅市場の大きな問題点は、その在庫の大きさにあったが、それもまったく改善の見通しが立っていない。5月の中古住宅の在庫率は10.8ヶ月(4月11.2ヶ月)、新築住宅では10.9ヶ月(同10.7ヶ月)と高水準が続いている。

ガソリン値上げが個人消費に影響


次に、個人消費である。5月までに総額500億ドルの個人所得税の戻し減税が実施されたが、減税分を含めた可処分所得の増加額のうち、2割弱はエネルギー関連と食料の消費に吸収されたといわれている。米国のガソリン価格は、08年初には3.1ドル(1ガロン≒3.785リットル)であったが、直近7月初では4.098ドルと4ドルを上回ってきている。前年同期比で39%と異常な上昇である。そして、エネルギー関連消費の個人消費に占める割合は、5月で6.8%、ガソリンに限れば、3.9%と第一次石油危機直後の74年と同水準になっている。

このエネルギー価格の異常な上昇が家計の重い負担となっている。最近のテレビでは、夏休みにどうやってガソリン価格を控えるか?夏休みは近場で過ごそう!などの見出しがあふれているという。日本でも最近ニュースで、海外旅行における燃料サーチャージがツアー価格と同額くらい高い、と取りざたされているのと同様である。

このように、表面的な数値は最悪のものとはなっていないが、今のエネルギー価格の高騰が続いた場合には、明らかに企業・個人ともにその活動が制限されてくるのは間違いないことである。今月は利下げが見送られたが、スタグフレーション(景気後退とインフレの同時進行)阻止の政策は困難を極める。