「私、別にここで友達なんて出来なくても良いんです。」
彼女は大学生のアルバイト。普通に笑顔も有り、キビキビと動き、とてもよく働くのですが、ひとつ大きな問題がありました。彼女は、「店長の言うことはよく聞くのに、他のバイト仲間の言う事は聞かない。」という、チョット面倒な態度を取っていたのです。
しかし、店長とのコミュニケーションは、全く問題がありませんでした。素直に言う事も聞くし、サポートもしっかりと行います。なので店長の眼には、他のスタッフと比べて、むしろ優秀なスタッフと写っていました。
彼女は、普通に見ると別段変わったところも無く、黙々と仕事をしています。しかし、他のアルバイトとのコミュニケーションはあまり取らず、仕事中でも自分の持ち場だけしかこなしません。チームプレイでお客様をおもてなしするレストランのスタッフとしてはやりにくいタイプだったのです。
その為、彼女は次第に孤独になり、他のスタッフと会話をすることも少なくなり、次第にひとりぼっちになって行きました。それに気がついた店長が彼女に「もっとみんなと積極的に話をしようよ。一緒に働く仲間は友達だろ?」と言ったのですが・・・
「私、別にここで友達なんて出来なくても良いんです。」
彼女から帰ってきた言葉は、こんな投げやりな言葉だったのです。
店長は、これは根が深いなと感じ、その日すぐに彼女と個人面談を行いました。
「僕は、君の仕事ぶりを認めています。本当に良くやってくれているし助かっています。しかし、周りのスタッフが認めていない。なぜだかわかるか?」こう切り出した店長に、彼女は素直に答えました。「私の態度ですよね。」「そうだ。僕は君がこの店の中心スタッフとしてやっていけると信じている。君のお客様に対するきめ細かな気づかいは、超一流だと思っている。しかし、今のままではだめだ!」彼女は、素直にうなずいて、じっと聴いていいました。
実は彼女は、「子供の頃からずっといじめに遭っていた経験から、友達を作るのが恐くて、ひとりぼっちの方が、気が楽だから出来るだけ話はしたくない。」と、思っていたのです。でも、「店長は、自分の話をよく聞いてくれるし優しいから、話が出来る。」と言うことでした。店長は、なるほどな、と思いながらも、このままでは解決しないと考え、彼女にアドバイスをしたのです。
「今日から君のミッションは、周りに認められることだ!」「はい!」
「大丈夫、僕が全面的にバックするから!最初はぎこちなくても一生懸命にやってみよう!」「はい!」
その日から彼女は、スタッフのサポートを積極的に行う様になりました。他のスタッフがお客様をお迎えし、客席に案内すると、間髪を入れずにお冷やとおしぼりのセットをスタッフのために準備し、メニューブックを手渡す。荷物が多そうなお客様だと、荷物カゴを用意する。ビックリするほど痒いところに手が届くようなサポートをして行きました。
元々センスのあった彼女は、店長からの指導を素直にテキパキとこなしていきました。すると、周りのスタッフからも「ありがとう」と言う感謝の言葉を受けるようになったのです。その感謝の言葉が、彼女の「もう友達は要らない」と言う気持ちを変えさせていきました。
彼女が、周りのスタッフから厚い信頼を勝ち取るまで、さほど時間は掛かりませんでした。この店には、今日も笑顔いっぱいで働く彼女の姿があります。
元いじめられっ子や外国人は、一緒に働く仲間とのコミュニケーションが、上手く行かないことがあります。その原因事情は色々とあると思いますが、大切なのは、店長が、周りとの融合を促進する環境作りをすることなのです。パート・アルバイト達だけで何とかさせるのでは無く、店長が完全バックアップをすることが最も大切なポイントなのです。
店長は、たったひとりの「ひとりぼっち」も放置してはいけません。その子をみんなとくっつけること。それが、チームを強くしていく店長の役割です。店長は、強力な接着剤なのです。
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