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「あの子は、今は笑顔が出ていませんが、必ず素敵な笑顔が出るようになります！今はまだ心を覆っている「不安の氷」が溶けていないだけです。私が責任を持って氷を溶かします。だから、もう少しだけ時間を下さい！」
マネジャーから、全然笑顔が出ないある新人バイトについて、適正が無いのならば配置を換えるか辞めてもらうかした方が良い、と指摘された新人店長でしたが、そうではない、必ず出来るようになる、と反論したのでした。
店長が、「この子は大丈夫、きっと素敵な笑顔が出るようになるはず。」と信じているのには、ちゃんとした根拠がありました。それは、この新人バイトを面接した時、「最近あった、とても嬉しかったことを教えて下さい。」という質問をしたのです。すると、その新人バイトは「今朝、姉の子供が始めて立ったんです！生まれたときから私もずっとその子の成長を見てきたので、自分の子供のような気がしてムチャクチャ嬉しかったんです！」と満面に笑みを浮かべて本当に嬉しそうに話したのです。店長はその時の彼女の笑顔を忘れることは出来ませんでした。だから、今この新人バイトが持っている「不安」や「心配」や「緊張」を取り除いてあげたら、きっとあの素敵な笑顔が満面に出る素晴らしいスタッフになるに違いない！そう信じているのです。
店長は、この子はダメな子だ、出来ない子だ、自分勝手だ、話を聴いていない、何も考えていない、素質が無い、能力が無い・・・・と、自分の部下やパート・アルバイトに対して思うことがあります。そうすると、心の中で感じていることって、どんなに隠しても何かの態度や言葉に出てしまいます。それは、その子に間違いなく伝わります。日々の簡単なコミュニケーションでギャップが出るにもかかわらず、なぜかこう言う気持ちは相手にすぐに伝わってしまいます。
それが、相手の心にある「不安」や「心配」や「緊張」を更に増幅させます。強力なリーダーシップを発揮する社長の部下達が、四六時中社長の機嫌を伺ってビクビクしている会社ってありますよね。それと同じ事になるのです。特に、おとなしい新人バイトの場合は、ものすごく「不安」や「心配」や「緊張」を持って働いています。たとえ店長が強いリーダーシップを発揮していなくても、自分でどんどん「不安」や「心配」や「緊張」を育ててしまうのです。
そんな気持ちの新人バイトに対して、表面的な態度や表情で全てを判断してはいけません。その表情や態度は、その新人バイトの「不安」や「心配」や「緊張」を表すメッセージなのです。店長は、彼らをそうさせている真の原因を探りましょう。観察し、質問し、聴くことで必ずその原因が見えてきます。
先ほどの、笑顔の無い新人バイトの場合は、自分の不慣れな動きで周りのスタッフに迷惑をかけてはいけない、と強く考える、周りに気を遣う性格が原因でした。その為、ひとつひとつの作業が慎重になるにつれ、表情から笑顔が消えていったのです。それが判った店長は、彼女に少しずつでも自信を付けさせるために、「認めて褒めて小さなアドバイスをする」を繰り返しました。すると、作業スキルの向上と伴に、徐々に彼女の顔に余裕が出てきました。
こう言うタイプの新人バイトは、一度「不安」や「心配」や「緊張」の氷を溶かすことが出来ると、ぐんぐん伸びていきます。お陰で、上司から辞めさせろとまで言われていたこの新人バイトは、今ではこの店を代表するような笑顔の看板娘に成長したのです。
新人店長に大切なこと。それは、たまに来る上司のひと言なんかに惑わされずに、自分の眼で毎日見ている部下達のことを徹底的に信じることです。心の底から信じれば、その気持ちは必ず相手に届きます。そして、「不安の氷」を溶かしてくれたあなたに対して、心の底から信頼を寄せてくれるようになるのです。
まず信じる！そこから始めましょう！
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