米国:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?3(5) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?3(5)

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米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(3)(第5回) 
〜組み合わせ自明に関する教科書的事例〜

   Agrizap, Inc.,
   Plaintiff-Cross Appellant,
     v.
   Woodstream Corp.,
   Defendant-Appellant.


河野特許事務所 執筆者 弁理士 河野英仁 2008年6月13日


6.コメント
 CAFCは、本事件は組み合わせによる自明性判断に関する教科書的事例であると述べている。一の先行技術中に、クレーム構成要件の一部が開示されていないが、当該開示されていない構成要件が他の先行技術中に記載されている場合がある。

 KSR最高裁においては、厳格なTSMテストに拘泥すべきではなく、「予期できる効果以上のものでない限り、公知の方法に関連するありふれた要素の組み合わせは、自明である。」と判示された。本事件においては当該判示事項に従い、自明であると判断された。クレームの内容、及び、先行技術の内容は事件毎に相違し画一的な判断は困難であるが、典型的な事例であるとして参考になる判決である。

7.KSR最高裁判決後の自明性に関するガイドライン
 KSR最高裁判決後、米国特許商標庁は自明性に関するガイドライン*4を公表している。ガイドラインの概要は以下のとおりである。

(1)Graham Factor
 自明か否かの判断においては、Graham最高裁判決*5において判示された下記事項をまず検討する。
(a)「先行技術の範囲及び内容を決定する」
(b)「先行技術とクレーム発明との相違点を確定する」
(c)「当業者レベルを決定する」
(d)「2次的考察を評価する」(例:商業的成功、長期間未解決であった必要性、他人の失敗等)

(2)審査官による理由付け
 これらを総合的に考慮して当業者にとって自明と判断した場合、出願を拒絶するが、そのためには審査官は、明確な理由付けが必要となる。

ガイドラインにはその理由付け例として以下の7つの例を挙げている。
第1:予期できる結果を奏するために、公知の方法に従い先行技術を組み合わせたにすぎない
第2:予期できる効果を得るために、単に公知の要素に置換したにすぎない
第3:同様の方法で、類似の装置(方法または製品)を改良するために公知の技術を用いたにすぎない
第4:予期できる効果を奏するために、改良可能な公知の装置(方法または製品)に公知の技術を適用したにすぎない
第5:自明の試み(obvious to try)にすぎない。つまり、成功の合理的期待をもって、有限の予期できる解決法の中から選択したにすぎない
第6:デザインインセンティブまたは他の市場圧力を受けて、努力傾注分野における公知の作業により派生したものにすぎない。ただし、その派生が当業者にとって予期できることが条件である。
第7:先行技術中に変形または組み合わせのための教示、示唆または動機付けが存在する (第6回につづく)
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