相続税の課税方式には世界で3っつの方式が採用されています。
政府資料に基づき分類すると、1)遺産課税方式、2)遺産取得課税方式、3)併用方式です。
採用している国は、1)アメリカ・イギリス、2)ドイツ・フランス、3)日本となっていますが、実は日本も明治38年当時は1)を、昭和25年に2)を、そして昭和33年に現行課税制度にして、ちょうど50年経過したことになります。
現行制度は「法定相続分課税方式」と言われ、相続税の総額を法定相続人の数と法定相続分によって算出し、各人の取得財産額に応じて、その相続税の総額を配分する方式です。
一方、「遺産取得課税方式」とは、遺産を取得した者ごとにその取得した遺産を課税物件として課税する方式です。
現行制度では利点もありますが、問題もあります。
例えば1人の相続人の申告漏れによって、その申告漏れの財産を取得しない相続人にも追徴課税額が発生することがあります。
又、小規模宅地等の減税特例は、特例の適用を受ける相続人等以外の者の税負担も軽減すると言った効果もありますが、制度の趣旨・課税の公平性から問題が指摘されていました。
従って、他の相続人に影響が及ばない遺産取得課税方式へ変更することになったのでしょう。
この変更に伴い、遺産に関わる基礎控除や養子縁組による法定相続人の制限などの取り扱い、又平成15年に創設された相続時精算課税制度を利用した者の取り扱いなどの具体的な方法は平成21年度の税制改正で示されるでしょう。