- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
建物の値段・・1
ご存じかとは思いますが・・
建設費ってのは通常「見積もり」という形で出されます。
この「見積もり」って何でしょう?
例によって調べてみますと・・
見積もりとは金額・量・期間・行動を前もって概算すること。また、それらを書面に記載したものを見積書という。
ということなのだそうです。
つまり、「見積もり」というのは値段とか価格ではありません。
決まっていない物の値段がこのくらいになりますよ、という表示なのです。
では、この建物の「見積もり」というのはどうやって出すのでしょう?
まず、我々が設計を行い設計図を完成させます。
その設計図を工務店さんに渡して「見積もり」の依頼をすることになります。
工務店さんでは積算士と言われる人達が積算つまり「見積もり」を行います。
まず、設計図を元に各材料の数量をひろいます。
コンクリートが何立米・・
鉄筋の何ミリが何トン・・
材木の何寸の何メートルが何本・・
金物が何個・・
屋根材が何平米・・
外壁材の何メートルが何枚・・
ビニールクロスが何平米・・
ダウンライトが何台・・
電線が何メートル・・
スイッチが何台・・
便器の何が何台・・
配管材が何メートル・・
全部出すのです。
はっきり言って大変な作業です。
そして、それにそれぞれの時価単価をかけます。
その上で今度はそれらに対する人件費や作業費や輸送費や付帯費などをプラスします。
日当いくらの大工さんが何日間働くのでいくら・・
土をどれだけ掘らなければいけないので重機を何日間借りていくら・・
その作業員の日当がいくら・・
鳶さんが何日間作業するのでいくら・・
ダンプがどれだけ運ぶので何台でいくら・・
現場事務所とか柵とか便所なんかも必要です。
駐車場なんかも借りないと・・
ガードマンだって必要ですし・・
設計施工の場合は設計料や監理料なんかも必要・・
たくさんあります。
その上で今度は必要経費。
電気代・水道代・・
電話などの通信費・・
現地までの交通費・・
それらを全部足す・・
ここまでが建物の原価。
つまり工務店としては全部払うお金で1円の儲けも人件費も税金も含めていません。
その上で工務店の人件費や儲けが含まれるのです。
こうやって「見積もり」は作られてお客さんに提示されます。
はっきりいって・・
大変な作業です。
若い積算士などは大きな建物などの場合「気が遠くなる」などと表現するほどなのです。
忘れないでください・・
この大変な作業の見積もり・・
無料です。
あくまでも成功報酬!ですから、それで工事がとれなければただ働きということになってしまいます。
ですから・・
見積もりをしてもらったら「ありがとう」の言葉を忘れないようにしましょう。
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