- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
建物の値段・・2
「見積もり」をして建物の値段を出すために絶対必要な物・・
それが、設計図です。
設計図は建物を建てるための物であると同時に価格を決めるための物でもあるわけです。
建物の価格を示す「見積もり」というのは絶対に設計図がなければ出すことは出来ません。
これは、どういうことかというと・・
建築費用というのは設計前の段階ではあくまでも(仮)であるということ。
工務店さんや設計士さんなどが言う建物価格は全て予定でしかないのです。
お客さんに依頼され、いくらで建てましょうという建物の価格というのは想定価格であり予定価格なのであって、その価格ですということではない。
いくらになるであろうと想定して設計は進められます。
逆に言えば・・
その価格になるように設計するのが我々の仕事なのですから、絶対にそうなるよう努力します。
その後、その設計が終わって見積もりが終わって初めて実際の契約価格は決まることになります。
これは必ずしも想定価格とは一致してこないため、その後でVEという価格をすりあわせる作業を行うことになります。
設計中にお客さんがあれもこれもやってくださいと無茶な要望をしますと・・
その予定価格にするのは難しいですよ、とまともな建築屋さんなら言うはずです。
注意しなければならないのは・・
たまに、それをまったく言わない建築屋さんがいるということ。
「いいですね~ 夢がありますね~ 一度やってみまっしょうか~」とかなんとか言ってどんどん価格はつり上がっていきます。
見積もり後にとんでもない金額を提示されて、おたくがこうしてくれと言ったのですから・・
と無理強いされます。
建物の価格が「見積もり」で決めるのである限り・・
設計が終わる前に「いくらです」とお客さんに工事契約価格を提示することは絶対に出来ません。
というか・・
工務店さんは契約などすることは絶対にありません。
ところが・・
たまにそうでない考えをする方々もいらっしゃいます。
不動産やさんに多いのですが、論理ではなく経済で物を考える方々です。
理屈は簡単・・
価格なき物を売るなどあり得ない。
形なき物にお金を払えなどいえない。
そこで・・
先に勝手に値段をつけます。
当然他社に勝つためにより安価な値段にします。
そして、その価格で作れと命ずるのです。
価格があってそれになるように作る・・
それでも安ければいい?
もし、そんな会社に出会ったら絶対にそこに頼んではいけません。
なぜなら先に価格が決まっていれば、それ以下になるよう設計して大儲けすることなど簡単なことだからです。
こういう会社の場合、見積書にはたいてい細かい内容は書かれていません。
基礎工事一式いくらなどと表示されていてコンクリートが何立米で単価がいくらなんてことはまったくどこにもない・・
見積書が一式いくらなどとペラペラな表示の会社には頼んではいけません。
そして・・
経済を優先して考える人は当然に最大の儲けを得ようとします。
我々のように正規の報酬をいただければ、ただ良い家が造りたいだけ、なんて人とはまったく違うのです。
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