所有している不動産を、自分の考えるとおりに家族(推定相続人)へ引き継がせるには、どのような方法を採るべきでしょうか。
遺言書を作成し、誰に不動産を相続させるかを記しておくのも一つの方法です。しかし、遺言が効力を生じるのは相続開始後ですから、名義変更がおこなわれたのを自分で確認することはできませんし、絶対に安心だとはいい切れません。
そこで、もう一つの選択肢となるのが生前贈与です。夫名義の不動産を妻へ。夫婦共有になっているのを、一方の単独所有に。また、親名義の不動産を子に生前贈与するなど、さまざまなパターンがあります。
自らの生前に不動産の贈与をおこない、名義変更(所有権移転登記)を済ませることができますから、確実に思いを実現できます。
ただし、夫婦や親子など家族間での贈与であっても、贈与税がかかるのが原則ですから注意が必要です。贈与税は基礎控除の額が少なく税率も高いので、相続によれば税金がかからなかったのが、生前贈与したことで多額の贈与税を支払うことにもなりかねません。
さらに、不動産の贈与を受けた場合には不動産取得税がかかりますし(相続であれば不動産取得税がかかりません)、名義変更(所有権移転登記)をするための登録免許税も相続の場合より税率が高いです。
このように、自らの意思で不動産を生前贈与しようとするときには様々な費用がかさむこともありますが、親子間や夫婦間で居住用の不動産を生前贈与するときには、各種の特例などが適用されることで大幅に税金の負担を抑えられる場合もあります。
そこで、不動産の生前贈与をしようとするときには、はじめに税金についてよく検討します。そして、その負担を踏まえたうえで、相続によるのか、生前贈与によるのかを決定すべきでしょう。
「相続税対策」に関するまとめ
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