早わかり中国特許:第21回 復審請求 (第2回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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早わかり中国特許:第21回 復審請求 (第2回)

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早わかり中国特許

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 第21回 復審請求 (第2回)

河野特許事務所 2013年3月14日 執筆者:弁理士 河野 英仁

(月刊ザ・ローヤーズ 2013年1月号掲載)

 

6.復審審査

(1)合議体

 復審委員会で合議審査する案件は、3名または5名で結成される合議体により審査が行われる。一般的には3名の合議体により行われるが以下の場合には5名の合議体による審査が行われる。

(a)国内外で重大な影響が及ぶ案件

(b)重要な法的難問に関連する案件

(c)重大な経済的利益に係わる案件

 

(2)職権審理

 復審委員会は審査対象案件に対して、当事者が請求した範囲、提出した理由及び証拠等に限定されることなく、職権に基づいた審査を行うことができる。

 

(3)公開審査及び審決の公開

 国の法令、法規等により、秘密保持が必要な案件(出願人が方式審査の拒絶査定を不服として復審請求を提出した案件を含む)を除き、その他各種案件の口頭審理は公開して行われ、審査決定は公式に公開される。

 

(4)復審審査の審査範囲

 復審手続において合議体は一般的に、拒絶査定の根拠となった理由及び証拠に対してのみ審査を行う。ただし、合議体は、拒絶査定の根拠となった理由及び証拠に加え、審査対象書類に以下の欠陥を発見した場合、関連する理由及び証拠について審査することができる。関連する理由及び証拠に基づいて審査した後、合議体は当該理由及び証拠に基づいて拒絶査定を維持する旨の審査決定を行う。

 

(i)拒絶査定がなされる前に出願人に告知してあるその他の理由及びその証拠をもって拒絶するに足るような欠陥。

(ii)拒絶査定で指摘していない明白な実体的欠陥または拒絶査定で指摘した欠陥と性質が同一の欠陥。

 例えば、拒絶査定において請求項1は創造性を有さないと指摘され、復審の審査において、当該請求項で保護を求めているのは明らかに永久機関であると認定された場合、合議体は当該請求項が専利法22条4項(実用性)の規定に適合しないことを理由に、拒絶査定を維持する旨の審査決定を行う。

 

 また拒絶査定において請求項1の記載が不明確であり、保護範囲が不明瞭であると指摘されており、合議体が請求項2も同様に、同様の用語の存在により保護範囲が不明瞭と判断した場合、復審手続においてその旨を復審請求人に通知する。復審請求人の回答によっても請求項2の欠陥が克服されない場合、合議体は専利法26条4項(明確性の記載要件)の規定に合致しないことを理由に拒絶査定を維持する旨の審査決定を行う。

 

 合議審査において、合議体はその属する技術分野における公知常識を引用するか、若しくは対応する技術用語辞書、技術マニュアル、教科書等のその属する技術分野における公知の常識的な証拠を補足しても良い。

 

(5)復審における補正

(i)補正の時期

 復審請求の申立時、復審通知書(復審請求口頭審理通知書を含む)への返答時、または、口頭審理に参加する際に、復審請求人は出願書類を補正することができる。

 

(ii)補正の範囲

 新規事項の追加が禁止(専利法第33条)される他、実施細則第61条第1項の規定に合致する必要がある。

 すなわち、復審請求人が行う出願書類の補正は、拒絶決定または合議体に指摘された欠陥の解消に対応するものでなければならない。具体的には以下の補正は認められない。

 

(a)補正後の請求項の保護範囲が、拒絶決定の対象請求項に比べて、拡大している。

(b)拒絶決定の対象請求項が限定する技術方案との単一性を具備しない技術方案を補正後の請求項とした。

(c)請求項の種類(カテゴリー)を変更した、または、請求項を追加した。

(d)拒絶決定で指摘された欠陥に関連しない請求項または明細書に対して補正を行った。

 

 なお、明らかな文字の誤りの補正、或いは拒絶決定で指摘された欠陥と同一の性質を有する欠陥に対する補正等はこの限りではない。

 

 このように、復審時においては補正範囲が限定されているため、保護範囲の拡大を求める場合、分割出願を行う必要がある。

 

 復審手続において、復審請求人が提出した出願書類が、実施細則第61条1項に合致しない場合、一般的に合議体はこれを受領せず、復審通知書に当該補正文書が受けられない理由を説明すると同時に、それまでの受け入れられる書類について審査を行う。補正文書の一部が実施細則第61条1項に合致している場合、合議体は当該一部に対して審査意見を提示してもよく、かつ復審請求人に、当該書類の実施細則第61条1項に合致しない部分を補正し、規定に合致する書類を提出すること、そうでなければ合議体は、これまでの受け入れられている書類のみを審査する旨通知する。

 

(6)復審通知書の送付

 以下の場合、合議体は復審通知書(復審請求口頭審理通知書を含む)を送付するか、または口頭審理を行う(実施細則第63条)。

(i)拒絶査定を維持する決定をなす場合

(ii)復審請求人が専利法、実施細則及び審査指南の関連規定に基づいて出願書類を補正することにより、拒絶査定の取り消しが可能となる場合。

(iii)復審請求人による更なる証拠の提出または関連事項についての説明が必要である場合。

(iv)拒絶査定では示されていない理由または証拠の引用が必要である場合。

 

 復審請求には、復審通知書を受領した日から1ヶ月以内に通知書に指摘された欠陥に対して書面による回答を行わなければならない。期限を過ぎても書面による回答がない場合、復審請求は取り下げられたものと見なされる。

 

 合議体から送付された口頭審理通知書について、復審請求人は口頭審理に参加するか、または当該通知書を受領した日から1ヶ月以内に通知書に指摘された欠陥に対して書面による回答を行わなければならない。復審通知書において、すでに出願が専利法、実施細則及び審査指南の関連規定に合致していない事実、理由及び証拠を指摘しているにもかかわらず、復審請求人が口頭審理に参加しない、かつ期限が過ぎても書面による回答をしない場合、その復審請求は取り下げられたものと見なされる。

 

7.復審の決定

 復審決定は以下に挙げる3つの類型に分けられる。

(1)復審請求は成立せず、拒絶査定を維持する。

(2)復審請求は成立し、拒絶査定を取り消す。

(3)復審請求人が出願書類を補正し、拒絶査定で指摘した欠陥を解消できたことから、補正文書を元に拒絶査定を取り消す。

 

 復審決定後、復審委員会は復審決定書を請求人に送付する(専利法第41条第1項)。

 

8.審決の効力

 復審決定により元の審査部門による決定を取り消した場合、復審委員会は案件ファイルを元の審査部門に返送する。元の審査部門は審査許可手続を継続しなければならない。 元の審査部門は専利復審委員会の決定を執行するものとし、同一の事実、理由、証拠をもって、当該復審決定の見解と相反する決定を行ってはならない。

 

9.審判の取り下げ

 復審決定がなされるまで、請求人は復審請求を取り下げることができる。復審請求の取り下げにより、復審手続は終了する。

 

10.不服申し立て

 特許出願人は特許復審委員会の決定に不服があるときは、その通知を受領した日から3ヶ月以内に人民法院に提訴することができる(専利法第41条第2項)。

 

(第3回へ続く)

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