民法改正(財産法関係)その10 - 民事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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鈴木 祥平
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村田 英幸
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閲覧数順 2017年08月18日更新

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民法改正(財産法関係)その10

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○債権者代位権

3-1-2

 判例の要件をおおむね明文化したもの。

                                                              

1 債権者代位権                                                              

  民法改正提案は、債権者代位権について範囲を縮小して、本来型と転用型に分けて、存続させる方針。

  なお、民法改正提案は、直接請求権について、他に、賃貸借の場合の賃借人の妨害排除請求権、委任の場合の復受任者の報酬・費用償還請求権も、新設。

  現行の判例法理と異なり、民法改正提案では、

①   代位行使される債権額が代位債権者の債権額に限られず(総債権者のために責任財産を保全するから)、

②   事実上の優先弁済機能を否定して、回収した金銭を代位債権者は債務者に戻さなければならない(債務者に戻された財産に強制執行をする準備、保全の制度として整理された)、

③   代位債権者は善管注意義務を負う、

と規定する。 

  債権者取消権では、債務者から逸失した責任財産を、総債権者のために取り戻す制度だから、取消権者にインセンティブを与える必要がある。これに対して、債権者代位権の本来型は、責任財産の保全に特化して、事実上の優先弁済機能を与える必要はないというのが、民法改正提案の立場。民法改正提案の両者についての違いは、上記の理由による。

  代位債権者が善管注意義務を負うのは、代位債権者が、他人(債務者)の財産に介入する以上、当然ではないかと思われる。

 

 

2 債権者代位権の事実上の優先弁済機能については、弁護士会でも、意見がわかれている。

                                                              ○ 債務者の協力が得られる場合には、債権譲渡や取立委任等の方法がある。

・債務者の協力が得られない場合には、債権者代位権を活用する。                                                              

○ 債権執行の場合には、申立段階で、債権の特定が難しい。しかし、債権者代位権であれば、裁判所の関与のもとで、第三債務者に対する債権を明らかにすることができる。

○沖野教授は、被保全債権が、債務者の関与なしに決められてしまうという点を挙げられていたが、私見として、債権者代位訴訟では、裁判所がこの点についても事実認定をするのだから、この批判は失当であると考える。なお、債権者代位権をてこにして、事実上の交渉が図られる場合を沖野教授は指摘されておられたが、事実上の交渉や和解の場合には、法的権利の不安定は、どのような権利であれ、つきまとう宿命である。事実上の交渉が決裂した場合に、裁判所で決めてもらうことになるわけだから、この点も失当である。                                                              

○ 民事保全処分を活用すればよいとの意見もある。

・しかし、①債権仮差押の場合、債権の特定について、債権執行と同じ欠点があること、②保証金を供託しなければならないデメリット(債権仮差押の保証金は、おおむね不動産仮差押の場合よりも高率である。)等がある。

・私見としては、執行や保全の不備を棚上げにして、実体的権利だけをいじくるのはどうかと考える。

 

○ 実体的権利だけを実体法で定めていても、執行・保全の点で、以前は、動産売買の先取特権や一般の先取特権(労働債権等)のように、なかなか実効性がない事例があったからである。

 ただし、債権者代位権の事実上の優先弁済機能については、やはり修正を加えるべきであろう。取り立てた金銭をプールしたり、一定期間相殺を禁止する改正案が考えられている。債権者平等主義を念頭に置いているようだが、本来の意味での債権者平等主義は法的倒産手続でしか実現できない。これは、現行の民法や民事執行法を見れば明らかである。

私見ではあるが、緩和された形での債権者平等主義を実現したいのであれば、民事執行法における不動産差押や債権執行における二重開始決定や配当要求等に類似した制度を手続法において整備すべきではなかろうか。 

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