対象:遺産相続
相続放棄による、故人の家財道具について質問です。
父は亡くなっており、このたび母が亡くなりました。子供は私一人で結婚し別世帯です。
マイナス財産が多いので、相続権の有る私と母の兄弟は全員相続放棄します。
母は亡くなる直前まで、父方親族に持家を売る手続きをしており、今は手続きが完了し既に父方親族名義になっています。
その父方親族から、当分は家には住まないけれど、使える物(大型家電・家具など)は引継いで使うので使わない物(古い箪笥・大型食器棚など)は、あなたが処分してと言われました。
まだ相続放棄手続き前なので、遺品は家族のアルバムと母の服のみ手元に置いています。(生活用品から大型家具まで手付かずのままにしております)
そこで、相続放棄しても父方親族が言うように、あちらが使わない不用品は法律的にこちらが処分しなければいけないのでしょうか?
それとも、そのままにしておいて父方親族に選別してもらい、処分もしてもらう事はできないのでしょうか?
アドバイスいただけましたら幸いです。
あかのぞさん ( 大阪府 / 女性 / 34歳 )
回答:3件
藤本 厚二
ファイナンシャルプランナー
1
できれば父方ご親族にすべてお任せを
はじめまして!
結論から申し上げますと、相続を放棄すると決めたのであれば、遺産に対し一切を感知しないことです。たとえば、アルバムやお母さんの衣服なども手元に置くのは控えた方がよいと思います。
お母さんがいつお亡くなりになったか不明ですが、相続放棄をするについては、裁判所に申請するのに、相続開始を知ってから3か月以内と期限が決められています。
この期間を過ぎますと相続の放棄はできません。
また、裁判所に申請する手続きには、
申述に必要な書類
(1) 相続放棄の申述書(申請書)
(2) 標準的な申立添付書類
1. 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
2. 申述人(放棄する方)の戸籍謄本
【申述人が,被相続人の配偶者の場合】
3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【申述人が,被相続人の子又はその代襲者(孫,ひ孫等)(第一順位相続人)の場合】
3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
4. 申述人が代襲相続人(孫,ひ孫等)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【申述人が,被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)】
3. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
4. 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
5. 被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母))がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【申述人が,被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)】
3. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
4. 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
5. 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
6. 申述人が代襲相続人(おい,めい)の場合,被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
7. その他
相続人が,自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況を調査してもなお,相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には,相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てにより,家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。
以上は、裁判所の説明文ですが、結構難しい内容になっています。ですから、司法書士等の専門家がお近くにいればご相談されるといいでしょう。
基本的に相続放棄は、遺産のすべてをもらわないことですので、いくらかでももらうことにより、放棄にはなりませんので、ご注意をしてください。
最後に、全員が放棄をした場合に、お葬式やその後の行事をだれが行うかにより、費用負担の問題が生じることになりますが、お母さんのお金に手を付けることもできません。
最低限度の費用発生については、裁判所も考慮するとは思いますので、それも含めご相談するとよいですね。
高島 一寛
司法書士
4
形見分けは相続財産の処分に該当しません
はじめまして、司法書士の高島と申します。
誤解があるといけないので、財産処分の問題について簡単に解説します。実際に事を進めるに当たっては、相続放棄の手続きを含め専門家(弁護士、司法書士)に相談されることをおすすめします。
まず、相続放棄をするのであれば、すでにご存じのとおり「相続財産の処分」に当たるような行為は避けなければなりません。
ただし、故人が生前に使っていた物品を親族などに分ける、いわゆる「形見分け」については、一般的経済価額がない物であれば、相続財産の処分には該当しないと判断されることが多いでしょう。
したがって、少なくともご家族のアルバムをお持ちになることについては全く問題ないといえます。また、お母様の洋服についても、一般的経済価額がないのであれば大丈夫です。
次に、不要品の廃棄の問題についてです。
相続放棄をした以上は、不要品の廃棄をする義務を負うこともないと考えられます。ただし、経済的価値のないものであれば、ご親族からの求めに応じて、ご相談者が処分しても差し支えないでしょう。
一方、相続人ではないご親族の方が、お母様の所有物を自由に処分できるかも問題です。ご心配であれば、専門家と相談しながら進めていくのが良いと思われます。
司法書士高島一寛事務所
http://www.office-takashima.com/
阿部 隆徳
所長弁護士
2
ご回答
あかのぞ様
1
ご質問について、回答いたします。
なお、以下の回答は、お母様がご存命中に、父方ご親族の方への持家の売却が完了していることを前提とします。
売買契約の締結自体はお母様が完了していても、持ち家の引渡しや所有権移転登記、代金の受領等をお母様が亡くなられた後に相続人が行った場合には、単純承認とみなされる「処分」に該当し、そもそも当該相続人は相続放棄ができなくなる可能性が高いですので、ご注意ください。
2
お母様存命時の持家売却時に、明示又は黙示に持家内の家財道具を父方ご親族に譲渡・贈与したと考えられるのであれば、家財道具は全てお母様が父方ご親族に譲渡・贈与したといえます。
この場合には、そもそも家財道具は相続財産に当たらず、父方ご親族のものになりますので、相続放棄の前でも後でも、相続人が処分する必要はありません。
したがって、「家財道具は全てお母様が父方ご親族に譲渡・贈与済みなので、『私』(あかのぞ様)が処分する必要はない」、と主張すればよいです。
3
これに対して、お母様存命時の持家売却時に、明示又は黙示に持家内の家財道具を父方ご親族に譲渡・贈与したとはいえないのであれば、当該家財道具はお母様の相続財産に含まれます。
この場合、不要な家財道具の処分を相続人が行うと、相続を単純承認したとみなされ、相続放棄ができなくなります(相続放棄後であっても、処分が単純承認とみなされる可能性があります。)。したがって、相続放棄をする予定であれば、処分してはいけません。
また、相続放棄した後は、相続放棄した相続人は、相続財産について権利を持たないことになりますので、相続財産を処分することはできません。したがって、「相続放棄後は相続人でなくなるため処分できない」、と主張すればよいと思います。
4
なお、相続放棄者には処分権限はないものの、相続放棄後も、他の相続人が相続財産の管理を開始するまでは(あるいは相続財産管理人が選任されるまで)、相続財産の管理義務があります(940条1項)。
したがって、家財道具内に高価な物がある場合には、相続放棄後であっても適切に管理しないと、債権者等から不法行為による損害賠償請求等をされるおそれがありますので、ご注意ください。
5
なお、相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述手続をしなければなりません。3カ月を徒過すると、相続放棄はできなくなりますので、この点、ご留意ください。
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弁護士・弁理士・ニューヨーク州弁護士
阿部隆徳
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阿部国際総合法律事務所
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