対象:労働問題・仕事の法律
本田 和盛
経営コンサルタント
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営業手当と残業代
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凄腕社労士 本田和盛です。
就業規則の変更は、合理的な内容であれば従業員を拘束します。
労働条件は、入社時点で確定するものではなく、その後の労働契約の具体的な展開の中で、変更されることもあり得ます。労働契約というものが、雇用の保障を前提とした長期的な関係である点と、社会情勢の変化等の影響も受けるため、入社時点と背景事情が異なることがあり得る点から、労働条件の変更は認められています。
ただし、変更の内容が合理的なものではなく、労働者に一方的な不利益を与えるような変更は認められません。
営業手当に残業代50時間分を含めるという記載を加える変更も、実際に残業代50時間分の賃金相当額が営業手当に含まれており、営業手当の趣旨も、残業見合い分を定額手当として支給するという趣旨であれば、本件の変更は、営業手当の内容を明確にしただけということになり、合理性は認められます。
ただし、営業手当のうち、どの部分が残業見合いの定額支給部分であるのかが不明確であり、その算定方法も含め、就業規則でさらに明確にする必要はあると思います。
一方、現実の営業の残業が50時間以上であれば、定額支給として支払っている残業代では足りず、差額を支給する必要があります。
なお、就業規則の変更時には、従業員に対して周知しなければならないとされており、周知されていない就業規則の変更を無効とした判例もあります。しかしこの「周知」は、労基法が定める周知方法がなされておれば足り、すべての従業員に説明する必要までは求められておりません。
就業規則の変更前の営業手当には、「残業50時間分を含む」という記載がありませんが、それをもって「残業代50時間分」を後から請求するというのは、どうでしょうか?裁判になった場合でも、現実の残業時間と実際に支給された営業手当との差額の支払いが認められる程度でしょう。
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この回答の相談
今、退職して、未払い残業代について労基署に是正勧告をお願いしています。その内容ですが、当時営業職で、現在の就業規則には営業手当に残業が50時間含むとなっているのですが、入社時にそのような説明も… [続きを読む]
k.m.さん (兵庫県/38歳/男性)
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