私はあまりお勧めしません

マウスピース矯正がどんなものかご存知ですか？

まず歯型を取り、模型上で歯を少し動かした位置でマウスピースを作ります。
それをしていると歯はその位置に動きます。

何度かマウスピースを作り直して
徐々に並べていくのです。

私の経験でお話しします。

マウスピース矯正はよほど軽度なもの以外適応症とは考えられません。

ご心配されているように
前歯が２歯前に出ています
これを中に入れるのには場所が必要です。

そこで前歯２歯を削る必要がありますか？というご質問だと思います。
この質問の主旨は妥当な意見です。
場所がないのにどうして入るのだろうか？？
歯列を小さくするのにどうして？
こういった事ですよね。違ったらすみません。

私もそう思います。
そこでどうやって入れるのでしょうか？
魔法はないのです。

答えは横に拡大するのです。
歯列を側方に拡大すると
円周が大きくなったのと同じになり歯をおさめる場所ができます。

しかし、ここで一つ問題が浮上します。
歯列はどこまで拡大可能なのでしょうか？

私の経験ではごくわずかです。
成人の方は舌の内側からの圧力、頬の外側からの外圧、そして歯がのっている骨
の３つの要素がバランスの取れた位置が歯列の大きさを決めています。

拡大すれば頬の筋肉の抵抗にあいます。後戻りの原因になります。

もう一つマウスピース矯正の大きな欠点があります。
もし上の歯だけを動かす場合
下の歯と噛みあうのでしょうか？

噛むと考えるには無理がありませんか？
下の歯は動いていないのだから。

どちらにしても程度問題です。
わずかな歯の移動ならマウスピース治療も可能ですが
大きな移動は無理です。

私は普通にブラケットを使用した矯正治療をお勧めします。
見えるのが嫌ならリンガルブラケットなんかどうですか？

私は過去に驚くほど歯列を広げられて困っている患者さんの相談を受けたことがあります。
再治療は歯を抜いて歯列を元の大きさに戻すことでした。

これは極端な例ですがよくお考えになってみてください。

また前歯の大きさを単純に気にされている場合はやはり削って小さくすることもあります。

ご質問の内容は大変妥当なものです。

矯正治療は一生に一度の治療ですよくお考えになって納得した上で決断してください。