- 山本 俊樹
- インテグリティ株式会社
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
米国の金融機関を巡る環境は非常に厳しく、金融機関の信用創造機能は完全に麻痺してしまっている。そして、実体経済へも大きな悪影響を与えているのである。
もうひとつの「スタグフレーション」とは、景気後退とインフレが同時進行することである。雇用環境の悪化、住宅市場の崩壊、各種景況感指数の悪化など景気後退が進む一方で、108ドルを突破して高騰し続ける原油価格や他のコモディティ価格高騰により引き続きインフレ懸念が強い。
経済環境を見ていくと、まず、雇用環境は引き続き減少傾向にある。2月の非農業部門雇用者数は前月比▲63千人となり2ヶ月連続で減少となった。金融機関の大量のレイオフや住宅関連の低迷が響いている。
各種の景況感指数も低下の一途をたどっている。製造業指数(PMI)は48.3と2003年4月以来の低い数字であった。
こうした中、FRB議長は、住宅市場や雇用環境が予想以上に調整され、信用創造が減退するなど、今後景気の下振れリスクが存在することを指摘した。そして、原油価格高騰などによるインフレ圧力が高まる中にあっても、あくまでも景気への配慮を優先するスタンスを取っている。
米国経済はこのように、「クレジットクランチ」と「スタグフレーション」という二つの大きな混乱要因によって、リセッション入りするリスクがかなり高まっている。