- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
さらにさらに・・
考えるならば・・
技術の進歩ってやつがあるのです。
みなさん携帯電話ってこんなに早くあっという間にこの世の中に広がると思っていましたか?
もう、はっきりいって一般家庭においては固定電話なんてものは無用なのかもしれません。
いや、近いうちにはデータ通信としてのみのケーブル配線が用いられて固定電話はなくなるでしょう。
そしていまや光ケーブルの設置は新築では当たり前になり、一般ケーブルの通信手段すらなくなってきています。
その光ケーブルだってどうなることやら・・
だって、まさか家中のネットが無線でつながるようになるなんてちょっと前まで想像出来ましたか?
持ち歩いてるモバイルブックがどこにいてもネットにつながるなんて思ってましたか・・
TVは超薄く大きくなり、設置方法はまったく変わってきました。
そう遠くないうちにぺらぺらなものになってしまうらしいです。
洗濯機は乾燥機能がどんな安価な物でも当たり前につくようになり、高層マンションなどではもうバルコニーという物すらありません。
冷暖房や空調や給湯などもちょっと前とは根本的な考え方からその形態から大きく変わってきています。
それどころか、今や電気まで家庭で作ろうという時代なのです。
たいていの人は・・
家を建てる時に、将来の技術の進歩にそれなりに対応できるようにしておきたい・・
と思う物です。
が・・
こればっかりはどうにも・・
わからん!
のです。
ちょっと前までは・・
IT好きの人やそれを使う仕事の人などは自宅にLAN環境をという人がとても多かった物です。
が・・
申し訳ありませんが、当時たいへんなお金を掛けて張り巡らしたLAN環境は・・
今や無用の長物です。
2~3万円で無線ルータを買ってくればそれで済んでしまうのです。
光ケーブルは折れ曲げることが出来ないので昔の通信ケーブル用配管には通りません。
なので、光ケーブルに対応した配管をする以前の建物には光ケーブルは別配管しない限り導入は出来ません。
ぞろぞろと線が見えてしまうのです。
今後はどうなるのでしょうと聞かれても・・
こればっかりは・・
わかりませんとしか答えようがない。
出来るだけのことをしておきましょう。
としか言えないのです。
残念ですが・・
だから、後で文句は言わんといて下さい・・
今の家は100年もちます。
ま、ちゃんとした家はということですが・・
ちゃんとした家って何よ?
ってのはここではおいときましょう。
100年もつということは・・
あなたがいなくなってもその家は残ると言うことです。
新しく建てられた家は建てた人より長生きするのです。
その家にはあなたのお子さんが住むのでしょう。
お孫さんも住むかもしれません。
あるいは誰か知らない人が住むことになるのかもしれません。
誰が住むことになろうと・・
そこには誰かが住むのでしょう。
が・・
誰も住まないことも多々あるのです。
それはその家がなくなってしまうということで・・
やむなく建て替えることになることもあるでしょう。
やむなく売られることもあるでしょう。
でも・・
年をとって住みづらくなって・・
子供が戻ってくることになり手狭で・・
古くさくてださいから・・
あるいは・・
地震で壊れてしまって・・
汚れがひどくて汚くて・・
何て理由で・・
その家に住むことが難しくなってしまって取り壊される・・
これは出来れば避けたいところです。
ただ・・
今の家は100年もちますが・・
そう、少し前の家でもうまく使えばそのくらいは持つのですが・・
実際の所、今の日本の家の建て替えの平均スパンは約30年なのだそうです。
ほとんどの家がその寿命をまっとうするはるか前に解体されています。
なぜなのか?
よく言うことですが・・
家を改築するより立て直した方が安い!
から・・?
これは、いつか改築するであろうことを考えずに家を建てているからなのではないでしょうか?
それから・・
次の世代の人達が魅力を感じない家では・・
残るべくもありません
100年たっても壊されない・・
誰かがこの家に住みたいと思う家にしたいものです。
なんだか、これを書きながら・・
ちょっと思ったのです。
考えて見ると・・
家の将来を考えれば100年もつ家を建てることは正しいことなのでしょうか?
だって・・
み~んな平均30年で家を建て替えているのです。
なのに何で100年もたせる必要があるのでしょう?
100年もたせるためには30年もたせるのより当然・・
ずっとずっとお金がかかります。
最初から30年でいいよって建てれば・・
お安く済むのです。
あなたのお子さんは自分の力で理想の家を建ててはいけないのでしょうか?
その家がまだまだもつのだからもったいないのであきらめなければいけないのでしょうか?
ま、そう言う時は売るのでしょうが・・
長期優良住宅って正しいのでしょうか?
わからんくなってきました。
ただ・・
実際の所、30年で終わり!なんて作り方は出来ませんし・・
100年って言っても実際ど~よって言うと・・
100年もつのか90年なのか、はたまた30年どころか20年で壊れるのか・・
案外200年たっても平気なのかなんてのは誰にもわかりゃあしないのです。
100年ってのはあくまでも抽象的な話で・・
そのくらい大丈夫なくらいってことで・・
いくら何でも爆発したり、まともに火事が起きたりしたらどうにもならんのです。
一部の歴史的建物とか・・
人々の印象や心に残る建物が100年残ればあとはいいのではないでしょうか?
どの建物が印象に残るかわからないので全部100年もたせなけりゃあならないのでしょうか?
だんだんわけがわからなくなってきました。
建物作ってる奴が何言ってんだ!
って怒られそうですが・・
そんなこと言いながらも今度は200年もつ家をめざそうかと思っています。
【 このコラムはブログ記事をまとめた物です。詳しくはブログ「よもやま建築日記~家づくりの現場から~」をどうぞ。 】
Atelier繁建築設計事務所HP
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