- 福岡 浩
- 有限会社業務改善創研 代表取締役 業務改善コンサルタント
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:医療経営
- 中井 雅祥
- (求人とキャリアのコンサルタント)
- 柴崎 角人
- (行政書士)
この4月には改正される介護保険法、改定される介護報酬、さらに医療保険の診療報酬も改定されます。特に介護事業者の関心事は、何と言っても報酬改定です。その中でデイサービス(通所介護)のサービス提供時間の時間帯枠が変わり、報酬も事実上引き下げられます。同じように、訪問介護のサービス提供時間も新たに20分未満や45分未満が新設されます。
以前から訪問介護のサービス提供量が伸び悩んでいる現状に加えて、利用者のデイサービス滞在時間が長くなることにより、訪問介護のサービス提供機会はさらに減少する可能性が高いと言えます。訪問介護事業者が生き残る道は、今回の法改正の目玉となっている「地域包括ケア」の枠踏みにどう関っていかれるかにかかっていると言えます。訪問介護事業経営者にとっては、益々その経営、運営の力量が試されることになるでしょう。
一方、増え続けているデイサービスのサービス提供量を少し抑制しつつ、しかし、今後も増えるだろうデイサービスのニーズに応えていくためにどうするか、苦肉の策が今回の報酬改定ではないだろうか。増え過ぎた感がある通所介護事業者を整理して、一定の事業所数で適切なサービス提供を目指すなら、一旦篩にかける必要があります。それが3年に一度の報酬改定でもあります。すでに一部の保険者(自治体)では、デイサービスの総量規制が始まっています。ということは、これ以上デイサービスを増やしたくないという行政側のシグナルでもあり、引き下げられた報酬で何とか工夫して遣り繰りしていかれる事業者だけが残ってくれればそれでよいという考え方がありありと見えてきます。
訪問介護事業も通所介護事業も、今から新規参入するのは自殺行為だということだけは明白です。既存事業者が事業拡大や拠点増加を計画するなら未だしも、ド素人が介護事業に参入するのはリスクが高過ぎます。
同時に先に述べたように、法改正、報酬改定後に立ち行かなくなる既存の介護事業者は三割くらいではないかという予測もあります。厚労省の内部でも同様の観測があり、初めから事業者淘汰を意図していることが窺えます。事業者数が増えれば管理監督の手間も増える、不正事業者も増える、取り締まりに人出が必要になる、そのような事情も考え合わせれば、報酬改定の内容は妥当だと言えます。
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