- 福岡 浩
- 有限会社業務改善創研 代表取締役 業務改善コンサルタント
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:医療経営
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- 柴崎 角人
- (行政書士)
第76回社会保障審議会介護給付費分科会
日時:2011年6月16日(木)9時00分~12時00分
会場:全社協・灘尾ホール
議題:1.高齢者の住まいについて 2.認知症への対応について 3.その他
資料:http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=164521
ご承知の通り、6月15日(水)に改正介護保険法が参院本会議で可決されました。これで、『24時間対応定期巡回・随時対応型の地域包括ケアシステム』が来年4月よりいよいよ始動することになります。医療と介護の連携強化、なかでも訪問介護員と看護師等の連携が求められる新しいシステムでは、間に入って調整役になる介護支援専門員の役割もますます重要になってきます。
さて、介護給付費分科会では、3年に一度の介護報酬の見直しを議論しています。来年平成24年4月施行の改正法と同時に、介護報酬も改定されますので、本会では年末までにはその報酬額を決定する予定で議論を進めるようです。今後、おおよそ月に二回程度の開催が見込まれています。
今回の議題の内容は、とても三時間では結論が出るようなテーマではありませんが、高齢者の住まいについては、介護付の高齢者専用住宅を中心として議論が進展し、業界団体の意見陳述とその陳述内容に対する委員の質問などのやり取りが行われました。中でも、従来の施設サービスと介護付の高齢者専用住宅との違いを明確化するよう(厚生労働省)老健局事務方に求める場面があり、国としても双方の違いや定義付けが曖昧であることが明らかになりました。
また、二つ目のテーマでは、以前から重要かつ解決すべき課題である認知症への対応が思うように進んでいない印象を受けるような一幕がありました。その一つは、認知症ケアモデルの確立がなかなか進んでいない現状があること、そして、その原因が認知症の程度を判断する「日常生活自立度」のバラツキにあることなどが浮かび上がってきました。介護の現場ではすでに問題視されていた、医師による「日常生活自立度」の判定が当てにならないという現状は、認知症の人の日常生活を見ていないにもかかわらず、自立度を判断しているからです。それによって、認知症ケアモデルは一向に確立に向かっていないようです。
認知症高齢者の「日常生活自立度2」以上に限った推計では、2010年208万人、2015年には、250万人、2020年で289万人に達すると見込んでいます。しかし、認知症の初期症状かそうでないか判断し難い高齢者も多く、その数を含めれば上述の数字以上になることは言うまでもありません。
今回の2つの議題は今後も続くことになりますが、報酬額を決める議論にどうつながるのか、想像できないほど論点が多過ぎるように思えます。
介護保険サービスを提供している介護事業者は、このような会議でどんな議論が展開されているかについてもっと関心をもつべきだと感じます。
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