- 増井 真也
- 建築部門代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
足立区の現場は現在壁のパテ処理をほぼ終了し、いよいよ左官仕上げの石灰クリームを施工する段階です。この石灰クリームというのは、通常はとろとろでなかなか素人には施工しにくい漆喰という左官材料を、セルフビルドでも施工できるように加工してある材料で、高知県にある土佐漆喰の名門「田中石灰工業」が売り出している製品です。
セルフビルドというと、なんとなくペンキの方が簡単なイメージを持つであろうが、その下地処理の事まで考えると実は石灰クリームの方が簡単です。ペンキを仕上げで塗る場合は下地処理のパテ処理は本当に平滑になっていなければならず、手のひらでなでてのまったく凹凸が感じられないくらい、で、それくらいに仕上げようと思ったらプロの職人でも最低3回くらいはパテ材を塗らなければなりません。
それに比べて石灰クリームは塗り厚さが1~1.5ミリ程度あるので、そこまでパテ処理に気を使う必要がありません。結果、作業全体に要する時間を比較すると石灰クリームの方が短くなるわけです。
ますいいでは石灰クリームの施工をする場合、「タナクリーム一日仕上げ」を使用しています。この材料は中塗不要の簡便施工タイプで漆喰のような平滑な仕上げはできませんが、暖かみのある壁が作れるのです。1缶7875円で約10m2の施工をすることが出来、そのほかには養生材、パテ材、ジョイントテープなどの材料が必要になります。これらはすべてあわせても住宅1棟当たり3万円程度。6畳の部屋の壁をセルフビルドで行う場合は壁の面積が約30m2なので、材料費は35000円程度です。このコストは量産品のビニスクロスの施工を職人に依頼するのとほぼ同等であり、同コストで自然の素材の仕上げにすることができるということになるのです。