- 野村佳代
- 出版/広告プロデュース〜企画・ライティングからデザイン・印刷まで 株式会社アスラン編集スタジオ 代表取締役
- ライター
1つの文章を短くする(2)
・*頭でっかちな文章
「頭でっかち」と表現される文章も、読みづらい文章の代表的なものです。
これも、1つの文章を長くしすぎた結果、「頭でっかち」になってしまいます。
さっそく、「頭でっかちな文章」の例を見てみましょう。
<例文>
最近、起業家の間でよく利用されている住所の貸し出しサービスを行う「バーチャルオフィス」は、秘書サービスが用意されています。
何となくは伝わるでしょう。しかし、わかりづらさは否めません。
主語は「バーチャルオフィス」です。述語の部分は「用意されています」になります。
主語以降の文章を取り出してみましょう。
「バーチャルオフィス」は、秘書サービスが用意されている。
これだけの方が、よっぽど文章の真意が伝わります。
それでは、主語である「バーチャルオフィス」より以前の文章は、何なのでしょうか。
これは、主語を修飾し、説明している文章なのです。
「赤い花はきれいです」という文章で言えば、「赤い」の部分に当たります。
「赤い」ぐらいなら修飾していても邪魔にならず、花の様子を表す言葉としてふさわしいでしょう。
しかし、「10センチもある大きな赤くて丸い花」となってしまっては、花の様子を次々に表しすぎていて、イメージがついていきません。
前述の例文は、まさにこの状態なのです。
このような場合にも、2文以上に分けるとすっきりします。
分け方はさまざまありますが、たとえば次のようなものはどうでしょう。
最近、起業家の間でよく利用されているのは、住所の貸し出しサービスを行う「バーチャルオフィス」です。バーチャルオフィスには、秘書サービスが用意されています。
次のような文章にもできます。
最近、起業家の間でよく利用されているのにバーチャルオフィスがあります。バーチャルオフィスとは、住所の貸し出しサービスを行い、秘書サービスも用意されているものです。
「頭でっかちな文章」とは、単語をよりイメージさせるために付けた修飾部分が行き過ぎていることです。
次々にイメージが繰り出され、かえって読み手はイメージできなくなってしまいます。
文章を読み返す際には、「頭でっかちになっていないか」にも気をつけてみてください。
1文が長すぎる文章は、せっかく内容がよくても相手に伝わらなくなってしまいます。
次回は、文章の書き出しテクニックについて紹介します。