- 阿妻 靖史
- パーソナルコーチ
対象:コーチング
こういう人が一人いると場が和んで、雰囲気が柔らかくなります。とってもありがたい存在ですね。
でも、このいじられキャラ、心の問題(トラウマ)を抱えていることがあるって言ったら信じますか?
本人は、決して楽しんでやっているとは限らないと言ったら、信じますか?
機能不全家族といって、親が喧嘩ばかりしていたり、暴力的な雰囲気だったり、無視・世話の放棄みたいなことや、あるいは不機嫌さが満ちていたり親が子供を愚痴聞き係にしてしまうような家庭で育った子供は、身を守るすべを身につけます。決して喜んでするわけではないのですが、必死で生き延びようとするのです。こうして生き延びてきたけれど、心がうまく育っていない大人のことをアダルトチルドレン(AC)と呼ぶこともあります。
そのために身につける役割としては、いじられキャラ以外にもいくつかあり、
ヒーロー:ひどい家庭なのに、とても立派に育つ。本人は絶望を感じたくないから、
必死で頑張ります。但し、心は穏やかではありません。
マイナスを打ち消すことで必死です。
殉教者:家族の他のメンバーに被害が及ばないよう、自ら犠牲になります。
ひどいケースでは性的虐待の被害者になったりするのも、
この役割の子です。
スケープゴート:英語で「いけにえ」の意味ですが、「目をそらさせるもの」
というニュアンスがあります。外で悪さをする悪い子ですが、
家の中の問題から必死で目をそらさせようとしているのです。
迷子:自分なんかいなくなった方がいい、という観念を持っている子です。
居ても存在感がない、あるいは本当に居なくなったりします。
マスコット:場が緊張すると、面白いことを言ったり、愛想を振りまいたり
して和ませようとします。心の底から楽しんでやっているという
よりは、場の緊張が怖くて必死なのです。
さて、いじられキャラというのは、上の5つの役割で言うと、「マスコット」にあたります。
友達にいじられキャラがいたら、家庭内での緊張を和らげようと必死で身につけた、生きるための方法をいまだにやっているのかもしれません。やや無理やりな冗談とかボケ、天然キャラといわれているけれどどこか必死さや悲壮感が漂っているとしたら、家族の問題を解決しようと必死に生きた子供時代の心のクセがいまだに抜けていないのかもしれません。
バカにしたり、利用したりせず、その心の苦しさにそっと寄り添ってあげて、そして、彼(彼女)は場の緊張が何より怖いはずですから、あなたも、場を和ませるように心を配ってあげることが愛情のある対応といえます。
愛すべきいじられキャラ。
でも、本人の心の中は、怖さで一杯かもしれない。(直接問いただしたりしないこと!)
優しく受け止めてあげると、いじられキャラ君の心も救われることでしょう。
愛情のある対応を、ぜひお願いします。