別れさせ工作に対する注目の民事裁判の控訴審判決が29日言い渡されました。
【概要】
ある男性が別れた恋人と、よりを戻すために探偵業者に依頼をした。
一体、どんな訴訟なのか!?
主な関係者は4人。工作の依頼者である男性。依頼者の元彼女。依頼者の元彼女の当時の彼氏。そして、別れさせ工作を担当した工作員となる。
一昨年4月16日、依頼者は別れさせ工作を探偵社に着手金80万円、成功報酬40万円の合わせて120万円を支払うという契約で依頼する。
一体、どんなテクニックを使ったのだろうか。依頼者は当時付き合っていた元彼女とその現在の彼氏を別れさせる工作に乗り出した業者。
仕掛けたのは、ありふれた古典的なアプローチだった。工作員は道を聞くふりをして依頼者の元彼女の彼氏に接触した。
これが功を奏したのか、依頼者の元彼女の彼氏は工作員の女性を食事に誘ったという。さらに2人は連絡先の交換まで行った。
そして、5月14日。依頼者の元彼女と彼氏がデートをしているところへ工作員が登場。
そして、こう告げたという。
工作員:「彼とは何度か食事をした」
依頼者の元彼女と彼は、このことが原因か?は不明だが、ほどなく交際をやめたという。
依頼者のもくろみはわずか1カ月程度で成功したことになる。しかし、これがその後、金銭トラブルに発展する。
依頼者は別れさせ工作費合わせて120万円のうち50万円は支払ったが、残りを拒否したのだ。そこで、探偵社は依頼男性を相手取って提訴した。
大阪簡易裁判所で争われた一審。被告男性の言い分は社会道徳に反しているから工作費用は払わないという主張だ。そして、今年1月の一審判決で大阪簡裁は…
大阪簡裁:「交際を終了させるか否かは、指定女性(依頼者の元彼女)の意志によることになる。そうすると、公序良俗に反するとまでは言えないというべき」こう述べ、被告男性に残金などの支払いを指示。男性側はこれを不服として大阪地裁に控訴していた。
2018/08/29日午後、控訴した大阪地裁で言い渡された二審判決。
大阪地裁:「実行された方法も工作員女性が対象男性と食事をするなどというものであった。本件契約等が公序良俗に反するとまではいえない」こう述べ、控訴を棄却。男性に支払いを命じた一審判決を支持した。
今回の別れさせ工作のケースで、なぜ公序良俗に反しないとされたのか?
恐らく、工作員と工作対象者の間には肉体関係がないためと取れます。工作による肉体関係があった場合は、公序良俗に反するとの判決になったのかな?と思います。
また、工作対象者が既婚者の場合に工作員が対象者と肉体関係を持つと、さらに別の理由で公序良俗に反してしまう可能性が高くなります。
これは、既婚者は結婚相手に対して貞操義務を負っているので、その貞操義務を工作により破らせる行為というのは、違法となってしまう可能性が更に高くなることがあります。
結婚していない恋人同士の場合は、この貞操義務は存在しないので違法性は低くなります。
個人的な見解では、現在の別の交際を引き裂けば、自分の元へ戻ってくると考えるのは自分本位な考えの様な気はするが、不倫などにより離婚へ追いつめられた方々は、パートナーの浮気を立証し慰謝料を取ったとしても心の傷は消えず、自分が離婚しても「あの二人が一緒になるのは許せない」と言う気持ちから、別れさせたいと望む気持ちも少なからずあるのかな?と思います。
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このコラムの執筆専門家
- 坂井 利行
- (神奈川県 / 探偵)
- プライベート・シャドー 代表
探偵・調査業務の経験から各種解決策をご提案させて頂きます。
探偵という職業柄、浮気調査などのご依頼を数多く手掛け、不貞行為による離婚問題の証拠収集を得意としております。また、人捜し・ストーカー・詐欺・お子様の非行問題の案件や盗聴盗撮関連などのご依頼も多く手掛けている事より、防犯分野もお任せ下さい。
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