- 大園 エリカ
- 舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
- 東京都
- クラシックバレエ教師・振付家
昨年「★久し振りに舞台に立つ事になりました♡」でお伝えしていた様に、私は先日「シナリオクラブ」が主催するミニ舞台としての、人生初の本格的な演劇の舞台に立たせて頂き、無事本番を終える事ができました。
(^^✿
私は長年プロの舞台人として活躍して来たので、演出家の方にも「舞台慣れしている」と言われる豊富な経験を持つ身ではありますが、同じ舞台でも演劇の世界というのはバレエの舞台と共通する所もあれば、感覚的にかなり違う所もあるので、
その本番までのコンディションの持って行き方というものも違う分、やはり自分の中では貴重な"初体験"という感覚が強かったでしょうか。
( ・・) ~ ☆彡
今回の舞台の演目は、私が出演させて頂いた「カツドン」という作品の他に、「レディ・マクベス」「授業」「無限遠点Romeo&Juliet」という全部で4つの作品がありました。
出演者の方々は、今回が初舞台であるという初心者の方から、オペラや演劇の舞台に立たれた経験を持つ方達、又過去に劇団に所属されていたりしたプロと言っても良い経験をお持ちの方までいらして、実に様々でしたが、(※これがシナリオクラブならではのユニークな舞台作りにも成っています)
清家栄一さんという方の、普通の方では思い付かないであろう奇想天外なアイディアから生まれた演出のお陰で、どの作品もとても魅力的に仕上げられていて、私は改めて彼のセンスと才能には脱帽致しました。
☆_(_☆_)_☆
ちなみに、今回私が出演させて頂いた「カツドン」という作品はとてもユニークな作品で、台本を頂いた時には私は最初は正直ピンと来なくて、「何じゃこりゃ???演劇の世界って摩訶不思議!」という印象だったのですが(笑)、
台本を読み込んで行く内に、自分なりにそこに意味を見出せてからは、「なるほど~。見方によってはこの作品は逆に凄く奥深い作品にも成り得るのだな~。よっしゃ!では私は自分の解釈で芸術的作品にまで高めてみせる!」という目標ができて、役作りがとても楽しかったです。
(^^✿
…という訳で、
それでは今回は、舞台を観に来てくれた私の元教え子達がくれた感想のメールをご紹介させて頂きます♫(※本人達には了承済みです)
☆_(_☆_)_☆
※以下、元生徒達からの感想メールより
↓ ↓ ↓
Subject [本日の舞台のお礼]
こんばんは、夜遅くに失礼致します。
本日は素晴らしい舞台をありがとうございました。
最初から最後までとても楽しく鑑賞させていただきました。
「カツドン」では、役の感情が繊細に伝わってくるエリカ先生の演技に引き込まれ、
時間があっという間に過ぎて行きました。
特にエリカ先生演じる「女」が、カツ丼の誘惑に惑っているシーンの演技の豊かさと、
カツ丼を抱え独白するシーンが印象的でした。
どの演目も、どの方の演技も素晴らしく、笑ったり驚いたり時にはしめやかな気持ちになったりと、
とても充実した楽しい時間を過ごさせていただきました。
これからも機会がありましたら、是非ともまたエリカ先生の演じる舞台を観ることが出来たらと思います。
ありがとうございました。
加藤杏菜
Subject [楽しかったです]
今日はお疲れ様でした
最後にご挨拶をしようと待っていたのですがなかなか声をおかけできず、ご挨拶できずにすみませんでした。
会場で杏菜ちゃんと会うことができ、一緒に観ることが出来ました。
劇を見る前は難しい内容のものを理解できるのか少し不安でしたが、
すごく分かりやすく観やすくなっていて若者でも馴染みやすいと感じました!
エリカ先生が演劇!?と全く想像できずにいましたが、さすがという感じで、
まず舞台で醸し出す雰囲気が違いました。
それだけど、だらしのないOLという役はそのまま出ていて、やはりすごいなと改めて思いました。
舞台に立たれる先生は何歳も若く見え、普段とは全然違う役柄なのにしっくりきていました。(笑)
「ダイエットしなきゃ!」というセリフや、天丼をほおばる姿は普段の先生からは遠ざかった事だったので
クスッとしてしまいました。(笑)
面白い演技の中でもやはり手先や立ち姿はバレエのエリカ先生でした!さすがです。
先生と共に出演されていた男性の方が、その後のおじいちゃんと知った時はびっくりしました。
声も姿も違う人の様に見えたので!
メイクも凄かったです!!
どの演劇も演技に迫力があり、可愛い役や凛々しい役、面白い役や不気味な役…
全てがしっかりとしていて立派な舞台でした!
あと、本当に演劇が楽しくて好きでいられるのだなぁと感じさせられました。
あと、最後の作品「無限遠点Romeo&Juliet」で
「コッペリア(※有名なバレエ作品の一つ)」の曲が使われていましたよね!!
あの曲はとても好きなので、踊りたくなりました。(笑)
ロミオとジュリエットのお話をしっかりみたことはないのですが
私にとっては、コッペリアの明るい雰囲気と違い、「悲劇」いう印象をもっていたので、
まさか「コッペリア」の曲が流れるとは思わなかったので驚きましたが、
あのロミオとジュリエットは面白みがとってもある作品になっていたので
新鮮な気持ちで聴くことができましたし、他の作品の曲を違う作品で使うというのも
面白いなと感じましたが、
でもやはりちょっと違和感も感じました。
どんな違和感か、具体的には表せないのですが…
やはり「コッペリア」という作品を知っている私は、その印象を捨てられなかったのかなと思います。(笑)
今日は本当に楽しかったです。
また機会があったら是非観にきたいです!
よろしくお願いします。
ありがとうございました!!
長利愛菜
Subject [先生、お疲れさまでした!]
先生、今日の舞台のご案内を頂き、ありがとうございました。
主人と二人で見させて頂きました。
(※彼女はバレエを止めた後、暫くして数年前に結婚したので、私と彼女のご主人とは面識はありません)
私が今回の先生の舞台を見て、最初に感じたのは
「この役柄、私の知っている先生のイメージと真逆!」というショックでした!(笑)
なので見た瞬間はその驚きの方が大きかったのですが、
でもいつの間にか先生の自然な演技に吸い込まれていて、
見終わった時には違和感はなく「あぁ!そうか、これが演じるという事なのかぁ!
先生やっぱりスゴイなぁ!」と、おぼろげながら感じる事ができました。
(演劇の事にあまり詳しくないので、上手く表現できなくてすみませんっ。笑)
そして改めて感じたのは、やはり先生の表現力の大きさでした。
「どの様な舞台であっても、先生は決して手を抜かずにご自分のベストを尽くされている」という事を、
今回の舞台を見る事で、私は改めて先生の ”人としての姿勢” を肌で感じ取る事ができました。
あと私は演劇のことについてはあまり詳しいことはわからないのですが、
先生の作品以外は暗い題材のものが多かったせいか、
正直今回の舞台はかなりヘビーで陰鬱な気持ちにさせられてしまい、
私は見ていてちょっとしんどかったです。
(他の作品では人殺しや悪魔ばっかり見せられる感じでしたし、
あの悪魔の青い舌がとってもグロテスクで気色悪いし・・・)
特に3つ目の作品「授業」から受ける印象なのですが、
演技の中で何回も繰り返される怒鳴り声や逃げ惑う生徒達の悲鳴などが、
私達夫婦には何とも言えない不快感と言っても良いくらいの暗さがあって、
正直私達はとっても暗~く嫌~な気持ちにさせられてしまいました。
又こういう舞台を初めて見た主人は、
「あんなに歯が痛いというのを繰り返さなくても良いのに!」と感じているうちに、
本当に彼の歯が痛くなってしまったそうで、今も歯が痛いと言っています。(笑)
でも最後の作品の「無限遠点 Romeo&Juliet」の終わり方を見た時に、
それが「あぁ、なるほど!こういう事につながっていたのか!」という事が私は分かりました。(笑)
あ、あと最後の作品で「コッペリア」の曲が流れた時は、
「あれ?なんでこの作品でこの曲を使うのだろう?」と、ちょっと変な感じがしました。
演出家の方は、バレエ曲と知らずにイメージだけで選曲されていたんでしょうか?
でもその意味が私は良くわからなくて、あの場面では違和感だけが残りました。(笑)
あ、あとそうそう!
主人が「先生は開場した時からすでに舞台の上にいて、開演までの長い間(※30分間)、
ずっと自分の部屋に独りでいる演技をしていたのが凄い!」と言っていました!
「僕の様な素人からすると、入って来るお客さんに気を取られそうになると思うけど、
先生は集中して、ずっと自分の世界に入り込んで演技をしていたのがスゴイ!」と感じたそうです。
私も劇場に入って「片付けられない散らかった部屋に住み、ゴロゴロしているだらしない女性」を
舞台の上で演じている先生を見た時は、その普段の先生のイメージとのあまりのギャップに
「何で先生はこんな舞台に出ているのだろう!?」という様なショックと戸惑いと驚きがありましたが、
先生の演技を見ているうちに、自然に違和感なく先生の演じるOLの世界に引き込まれていたので、
やはりそれは「先生の演技力」からなのだろうなと改めて感じています。
今回の舞台を見させて頂いて、演劇の世界というものは、
バレエの世界とは大分違うという事が分かりました。
そうなのに、そこにすんなり自然に溶け込んでしまえるのもエリカ先生なのだという事ですよね~。
「バレエのエリカ先生」しか知らない私は、何だか不思議な感じで今回の舞台を見ていました。(笑)
又先生が舞台に立つ時には、見に伺いたいと思いますので案内して下さい。
今日はありがとうございました。
玉江マリ子
以上、今回観に来てくれた元生徒達の主な感想三つのご紹介でした♫
☆_(_☆_)_☆
人間は感性が皆違いますので、同じ舞台を観ても「楽しかった!」「分かりやすかった!」と感じる子もいれば、「暗かった」「重かった」と感じている子もいて、本当に感想は様々ですね~。
結局最終的には、「各自の好み」という事になるという事ですね~。
(^^✿
ちなみに最初の感想を書いてくれた元生徒は大学生で、私が教えていた当時は心に色々な悩みも抱えていたりしましたが、今の彼女は当時私から受けたアドバイスが色々糧になっている様で、彼女なりに前向きに人生の課題に取り組んでいる様です。
今回の舞台を観て「シナリオクラブ」の無料体験を受けてみたいと今思っているそうな♫ (もしそうなったら、シナリオクラブのスタッフの皆様、宜しくお願い致します)
又2番目の感想をくれた子は現在高校生ですが、彼女は非常に真っ直ぐな心と意志力を持った子で、繊細な感性と熱い情熱を合わせ持つという素晴らしい資質を持った子です。今回の中では一番年下ですが、一番自分の中に芯を持っているんじゃないかな~。
そして最後の感想を送ってくれた子は結婚して何年に成るのかな~?、今や一児の母になっています。今回の感想を読んで彼女が「カツドン以外の作品は、題材が暗くて重くて観ていてしんどかった」という印象を持ったというのは、つまりそういうものを客観視する余裕がまだ持てていないという事でもあるのでしょう。
昔からそうなのですが、彼女はいつもニコニコと明るく振る舞ってはいるけれど、現在の子育て含め、本当は本音の所で結構色々苦しくしんどい事が多いのかもしれないなぁと、逆に感想から私は感じたりしました。
あと彼女達が感想の中で述べていた「コッペリア」の選曲に関してですが、生徒達の感想は実に正直で、「バレエを知っている者なら素直にそう感じてしまうだろうな~」という事は、私もリハーサルを拝見させて頂いた時に感じてはいた事なのですが…。
(^^;
何も知らない人は曲のイメージだけ受け取るので、今回の選曲から受けるイメージに違和感を感じる事はないのかもしれませんが (演出家がその場面で表現したいイメージの曲であるという事は私は理解できます)、
けれど知っている者に取っては、やはり私が懸念した通りの印象を彼は持たれてしまったな~というのは否めませんでした。(実は私は今回リハーサルを見せて頂いた時に、僭越ながら彼に提言させて頂いたのですが、彼には彼の拘りがあった様です。でもその理論上のこじつけは逆に専門家には伝わらなかったというのが結果でもありますね)
私的には、彼の演出上の選曲というものにも彼独特のユニークな個性とセンスを感じるだけに(※例えば私が出演した「カツドン」で使われた曲は⦅流行に疎い私は全く存知上げなかったのですが⦆、今最先端と言われているらしい世界的にも話題のエド・シーランという男性の方の「SHAPE OF YOU」という曲で、
この曲の歌詞の内容を知れば、今回のカツドンの内容と非常にマッチしているという事が分かりますし、つまり知っているほど面白くなるというオシャレな選曲になっているのです♫
そして最後には、同じ曲を女性がカバーして歌っているものが使われている当たり、「ムム!清家さんお見事!!」という、そんな楽しみ方が密かにできる様な演出が施されていたのです。でもだからこそ)
「専門家が聴いても(全ての人に)違和感のない選曲=世界にも通用する選曲」というものがこの場面でもできていたら、尚オシャレで良かったかな~という思いが、正直この曲に関しては私の中に残りました。(何故なら彼の演出のセンスは、世界でも通用する感覚だと私は思っているからです!)
彼には彼独自の世界観があり、最終的には演出家である彼の選択とセンスになりますから、私の様な者が口を挟む事ではなかったのかもしれませんが、
でも全体を通してここだけが(知っている者には)違和感を感じる部分でもあり、ちょっと残念に感じたというのは、芸術的に幅広く受け止められる私であっても否めなかったというのが正直な所です。
( ・・) ~ ☆彡
…え?私の感想ですか?
感想というものは、舞台を観た人がどういう人生を歩んでいるかという事から来ますし、人間としての成熟度でも解釈が変わるのだと私は思いますが、
私的には、演出家としての清家さんのぶっ飛んだ天才的発想と才能、そして今回初めて拝見させて頂いたプロの俳優としての彼の演技力や指導力には敬意を持っているので、「今回の演出構成は(も?)、全体的に観てもとても良くできているなぁ!さすが清家さん!」という感じですね♫
特に今回の「授業」や「無限遠点…」など、原作の持つ暗く重たいイメージを、彼ならではの演出でコミカルタッチにする事で、それを軽いイメージに転換する技とセンスというものを私は感じました。
多くの観客の方達が笑える様な芝居演出も取り入れつつ、けれど脚本家が伝えたいものはそういう中でもしっかり根底に据えられているという演出は、正に清家さんならでは!と私は感じていますし、それは今回の出演者の方達全員が感じていた事ではないかと私は思います♫ (清家さんのファン多し!)
☆_(_☆_)_☆
今回の舞台では、私がバレエの公演を主催していた時に良く照明をお願いしていた吉本昇さんという方が観に来て下さいました。
彼は1969年から4年間、ナント蜷川幸雄さんの舞台の照明を担当されていたそうで、今回演出が蜷川さんの劇団出身の清家さんであるという事と、一緒に仕事をしたりして、良く舞台で見ていたバレリーナの私が出演するという事で、大変興味を持って今回の舞台を観に来て下さったのです。
彼は仕事柄、演劇の舞台も沢山観て来ているだけあって、それだけ色々な分野での舞台人に対する目も肥えていらっしゃる方なのですが、会の後にわざわざ電話を下さって感想を伝えて下さり、私はとても嬉しかったです♫ (吉本さん、ありがとうございました)
☆_(_☆_)_☆
お電話を頂いた時に、私が「演劇の専門家の方達の中には、元バレリーナとしての素養が演劇的には『キレイ過ぎる』という見方をする方もいるのですが、吉本さんは今回の私の演技をどう思われましたか?」と質問してみた所、
「僕はそう言う見方はしないなぁ!芝居をしているエリカさんはとても自然体で、役者として見ても全然違和感がなかった。貴女が台詞を言うのも僕は初めて聞いたけれど、
『どこかで役者の勉強もしていたのかな?』と思えるほど感情豊かで、観ている者に言葉に込める心が伝わっていたし、こちらも違和感が無くて驚いた!」と言って下さいましたので、専門家として目の肥えた方が下さる感想として私は信頼できて、とても嬉しかったです。
それを聞いた時に私が感じた事ですが、もし演劇の舞台としては初舞台の私が客席からその様に見えたのだとしたら、それはやはり清家さんの指導の力も大きいと私は感じています。
…というのは、リハーサルを始めた頃の指導で、バレエから来る習慣で身振り手振りが大きい私に対して、清家さんが「貴女は台詞を語る中にとても豊かな表現力があるので、もっと言葉の力を信じて良い」と、つまりは「身振り手振りをもっと排除しなさい」という事をアドバイスして下さったからです。
最初の頃のリハーサルの中で私が改めて自分に自覚した事は、他人に指摘されないと気付かないほど「バレエで培った素養=洗練された所作」というものが、自分の中では無意識の言わば"第二の天性"にまで身に付いているという事でした。(笑)
つまり姿勢の良さや所作も含めて、長年訓練を受けて来た私に取っては、それが自分の自然体であるという事ですね。(※ヨーロッパでは王侯貴族の間では、美しい所作を身に付けさせる為に娘にバレエを習わせる親が多いと言われます。故ダイアナ妃もその一人でしたね♫)
でもそういう事が演出家やパートナーに深く理解されずにいた為、(※これは専門的にバレエをして来た人間でなければ分からない感覚なので、しょうがないと私も彼らを理解しつつ)、
最初の頃のリハーサルでは、私は自分の自由を奪われ、自分の中から自然に出る身振り手振りを、ただ窮屈に抑えられるだけの様に感じられてしまい、それはまるで意地悪をされている様な感じさえして(笑)、物凄いストレスを感じたのも事実なのですが(笑)、
(※実は今回のリハーサルが始まってから、私は生まれて初めてストレス性の皮膚病(ジベル薔薇色粃糠疹)を発症してしまうという経験をして自分でも驚きました!そこからも、いかにそれが私のストレスになっていたのかという事がお分かり頂けますでしょうか?笑)
でも数回目のリハの時に、清家さんから「あなたが言う台詞に対して、僕は殆どダメ出しをしない事に気付いていますか?貴女は台詞で表現するだけで、身振り手振りがなくてもそれだけで充分伝わっているという事です。もっと言葉(台詞)の力を信じて良い」というお言葉を頂いてから、やっと私は納得する事ができたので、
そこからはあまりストレスを感じる事なく、頂いたアドバイスを参考にしながら自分なりの工夫をしてリハーサルに臨む事ができる様になりましたし、清家さんから「一回でクリアしたね!」というお褒めの言葉を頂けました。
今回の会のリハーサルを通して、私は色々な事を感じ、そして考えさせられました。
特に「皮膚病になってしまうほどストレスを感じている自分に、気付いていない自分」というものを、この病気が教えてくれた時に私が感じた事は、「あぁ、私は自分をもっと大事にしよう!」でした。(涙~)
私に取っては空気を吸う様に自然に身に付いたバレエから培われた「所作」は欠点ではなく、私の個性であり強みなのであると、その時はっきり自分で自覚したのです。
そういう所作(美しい・優雅・品格・雰囲気・オーラ)を身に付けた個性を持つ者が、今回私が演じた「カツドン」の中に出て来る女性の様な役柄を演じるからこそ生まれる"ギャップからの面白味"というものは、私にしかできない表現になるだろうという事ですね。
でもこれは清家さんも最初からそこを狙っていたからこそ、私に「カツドン」という、実際の私とは真逆の役を振り当てて下さったのだと思いますし、私がワクワクする様な面白い設定(片付けられない女とか、物に蹴躓いてゴミが散乱するとか!笑)を考えて下さったのだと思います。(私は演じていて非常に楽しかったです♫)
本番を終えた今の私が思う事は、私の演じたものがもし清家さんが狙った以上のものになっていれば、私的には「成功」と言えるという所におりますという事ですが、でもそれは清家さんにお聞きしないと分かりません。(笑)
清家さんも私とリハをする中で、相当にお疲れになった様に私は感じますので、今は私から離れられてホッとされておられるかもしれません。(笑)
けれど私は何事においても手を抜かず本格嗜好な性分なので、清家さん、それはしょうがありません。(笑)
私的には「自分の個性」として吹っ切れた後、とても楽しくリハーサルができましたし、いつか機会があれば、又この「カツドン」という作品を又演じてみたいという自分がおります。
…あ、そうそう!
照明の吉本さんにも「開場した時からすでの舞台にいて、開演までの30分間ああして舞台の上で自分の部屋で寛いでいる演技をず~~~っとしてから台詞を語る芝居に入るというのは、大変だったでしょう!」と言われました。(笑)
このシーンは30分と非常に長いので、実は本番までリハーサルをする事ができず、殆どぶっつけ本番の様なものでしたが(※でもそれは、清家さんが私が舞台人として長年のキャリアを積んでいるという事を見込んでの事であり、つまり信頼されていたという事でもあります)、
自分では思っていたほど大変ではなく、まるで本当に自分の部屋にいる様に非常にリラックスしてゴロゴロしていました。(笑)(本当の私は、部屋でゴロゴロする事は皆無と言って良いほどありませんが、若い頃の自分を思い出して…という感じでしょうか。笑)
最後の方は寝入ってしまうという演技にしようと決めていたのでそうしたのですが、私はじっと動かないという事は苦ではないので、逆に死体に思われない様に(笑)、時々寝返りを打ったりモソモソ動くという事を取り入れたりしてました♫(笑)
長時間ゴロゴロした後に演技に入るという事から来る、多分いつもとは少し違う微妙な感覚の違いを知る事は本番にしかできなかったのですが、前日短い時間でも少しだけリハができたので、本番にはあまり不安はありませんでした)
私は「観客が入って来た時に、すでに役者が舞台に居るインパクト」というものを狙った清家さんの演出のセンスが物凄い好きだったので、演じている時間は自分でもとても面白かったですし、貴重な初体験をさせて頂きました♫
素敵な演出を考えて下さり、又リハの中で大変私に気を遣って下さった清家さんのお心遣いに、私は心から感謝しております。
(^^✿
そしてもう一つ、今回久し振りに舞台に立ってみて自分自身に発見がありました♫
それは「私は舞台に立った時の方が楽!」という感覚です!
多分私は根っからの舞台人なのでしょうね~と、自分で思いました。(笑)
(^^✿
…という訳で、最後になりますが、
今回の舞台に関わって下さった全ての方達に、この場を借りてお礼を申し上げます。
本当に素敵な経験と思い出をありがとうございました!
☆_(_☆_)_☆
このコラムの執筆専門家
- 大園 エリカ
- (東京都 / クラシックバレエ教師・振付家)
- 舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
natural & elegance
長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年