本題に入りますが経営危機に陥った生命保険会社は、基本的には下記の3つの方法にて再生を図ります。
(1)契約条件の変更
経営危機に陥りかけた生命保険会社は予定利率の引き下げを行う事が可能となっています。順序としては行政当局に契約条件変更の申し出を行い、内閣総理大臣による申し出の承認を受けた後に契約条件の変更案を作成します。その後、再度、承認を受けた上で、予定利率引き下げの対象となる保険契約者に通知し、異議申し立てが一定数に満たなければ予定利率の引き下げが可能となります。簡単に言えば異議申し立てが対象者の10分の1を超えた場合には引き下げは出来ません。要は保険会社の都合だけで勝手に変更する事は出来ないということです。この方法は2003年8月の保険業法の改正により可能になったシステムです。
(2)更生特例法の申請を出す…今回の大和生命の例です。
(3)金融庁から業務停止命令を受ける
上記の2つのケースでは、契約者は生命保険契約者保護制度に因り保護されます。但し、保護の対象となるのは、国内で営業を行う全ての生保の元受保険契約であり、個人、法人を問わず対象となります。詳細は生命保険契約者保護機構(http://www.seihohogo.jp/)のホームページをご確認下さい。
次に実際は何がどう保護されるのか?という事ですが、今回の大和生命の説明の中でも意味が分からないと問題となった部分に「責任準備金の90%まで」が保護されるという部分です。
生命保険契約者保護制度が破綻保険会社の契約に対して行う補償は、昔の高い予定利率契約を除いた、「破綻時点の責任準備金の90%まで」です。
では、ここで言う「責任準備金」とは何の事でしょうか?具体的には、責任準備金とは将来の保険金、年金、給付金等の支払いに備えて各保険会社が保険料や運用収益の一部を積み立てる準備金の事を言います。皆さんの保険証券に記載されている解約返戻金の原資です。一部に勘違いをされている保険会社の社員さんもいるみたいですが、何に対して90%であるかを理解する必要がありますね。要は保険金や給付金、払込保険料では無くあくまで「責任準備金」なのです。
では、実際、どの位、減少するかについては、ご加入の保険種類や加入時期、保険期間等に因り変わってきます。ただ、一般的には貯蓄性の高い保険(養老保険、終身保険、個人年金保険等)は削減幅も大きく、掛け捨て保険(定期保険等)は削減幅は比較的小さい傾向にあります。
次に挙げる傾向がみられます。他には、バブルの頃など予定利率が高い時期に加入した契約は削減幅は大きくなる傾向がみられます。
詳細に関してはご加入の保険内容や加入時期等に因り人それぞれで一概には言えませんが、ご自身のご加入の保険証券を一度、見てみるのに良い機会かも知れませんね。
このコラムの執筆専門家
- 植森 宏昌
- (大阪府 / ファイナンシャルプランナー)
- 有限会社アイスビィ 代表取締役
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