店長のための「言える化」推進計画（その２５）

「つまり、自分が、話を聴きたくなるような『出来る部下』に、自分で育てろ、ってことですか？」

この店のスタッフリーダーのＡさんは、「ちょっと意味がわからない」という表情で店長に尋ねました。
このＡさんは、ホールの仕事はよく出来るのですが、ミーティングであまりにガミガミ怒るので、スタッフ達は萎縮してしまって、積極的な意見交換が出来ない状態になっていました。たまにスタッフが何か言おうものなら、それを途中でさえぎり、口をはさみ、その意見にダメ出しをするのです。時には、「何でそう言うことを考えるの？だいたいあなたはね～」と説教を始めたりもします。

店長は、それが悩みの種だったので、スタッフリーダーのＡさんにもっとスタッフの話を聴くように指導していました。しかし、Ａさんは、こう言うのです。

「あの子達は、言わなきゃあわからないんです。まあ、言っても全然出来ないんですけどね。だからもっと言わなきゃあダメなんです。」

ところが、そう言うＡさんが、スタッフの意見や気持ちを最後まで全部真剣に聴くことが出来ないと、スタッフ達は意見を言うことが出来ません。この店長が目指しているのは、スタッフが積極的に意見を言う「言える会議」なのです。店長は、スタッフがもっと意見を言えるようになると、責任感も増し、仕事の精度、レベルがもっと向上すると考えているのです。

指示だけではＡさんの課題は改善できないと判断した店長は、Ａさんが、「スタッフ達の話を最期まで聴きたくなる」ように、次の作戦に入りました。それが・・・

「部下に一目置ける上司になる作戦」です。
スタッフリーダーが、スタッフに対して「こいつらは凄いぞ・・・」と、ビックリし、そして敬意をはらうようになると、自然とスタッフ達の話、意見、提案を「聴きたくなる」と考えたのです。スタッフリーダーが話を聴くようになると、スタッフ達は意見を言いやすくなります。これにより好循環が生まれると店長は考えたのです。

店長がスタッフ達に「もっと積極的に意見を言ってね」と言っても、スタッフリーダーが封じ込める間は実現出来ません。一方で、スタッフリーダーに「スタッフの話を最期まで聴くように」と指導しても、頑として受け付けようとしません。しかし、ひとは「自分が好きな人の話は素直に聴ける」のです。なので、スタッフもリーダーもお互いにリスペクトできる（尊敬できる）ように成長することで、お互いに話を聴けるようになると考えたのです。店長は、その為のスタッフの育成を、当事者であるスタッフリーダーに命じたのです。

では、このスタッフリーダーが、部下であるスタッフ達に対して「リスペクトする（敬意を払う）」、さらに「一目置く」様になるには何が必要なのでしょうか？それは・・・

「スタッフが、自分よりも優れているところ持っていることを知ること」なのです。

スタッフリーダーが、スタッフを育てていく過程で、「スタッフの優れている点」を知ることが出来る様にしようというのが、店長が考えた「スタッフリーダー」への「スタッフ育成方法」なのです。
この「スタッフ育成方法」とは、以下のようなステップです。

ステップ１：部下に自分好みの能力を要求しない
ステップ２：部下を観察する
ステップ３：部下に自分の強みに気づかせる
ステップ４：部下の強みを伸ばす
ステップ５：部下の強みを活かす
ステップ６：部下に一目置く

さて、Ａさんは、このステップによって、部下であるスタッフ達に対して「一目置く」ことができるようになるのでしょうか？明日からは、このステップに沿って、Ａさんの奮闘ぶりをご紹介致します。お楽しみに。


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