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井門 隆夫
株式会社井門観光研究所 代表取締役
東京都
マーケティングプランナー

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対象:イベント・地域活性

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旅館業界の今後を象徴する組織の誕生

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変わる旅館業界を象徴する組織の誕生

7月、旅館業界で2つのシンボリックな組織の誕生がありました。

ひとつは、星野リゾート・リート投資法人の設立。星のや軽井沢など星野リゾートの直営旅館を取得して上場。今後、投資家の投資を呼び込む形で資産規模の拡大を目指すとのこと。これをもって、星野リゾートは名実ともに運営専門会社となり、営業利益に特別利益を加えた経常利益率20%を目指す企業体質を一層整えたと言えましょう。今後、デフレ解消が進むとすれば追い風になるのではないでしょうか。

もう1つは、「日本味の宿」の設立。各地で「地域に根ざした本物の宿づくり」を目指す34軒が集まり、お互いの連携を図ることとしました。「味の宿」の「味」とは、地産地消の料理だけではなく、宿としての雰囲気全体を示すもので、主人、女将の顔が見えることが第一としています。今後旅館が生き残るとしたら、こうしたネットワーク化が必須。その先駆けとして頑張ってほしいと願っています。

この2つ。お客様から見れば、同じ「宿」かもしれませんが、業界人は誰もがわかるとおり、全く真逆のビジネスモデルです。

時価会計が変えた日本の経営

2000年前後に、時価会計が日本企業にも導入され、株式の持ち合いや終身雇用という日本型経営の否定につながっていきました。金融機関は自己資本の充実に努めなくてはならなくなり、債権の回収に走る一方で投資家が出現。それまで金融機関に支払われていた金利分をさらっていきました。

その後、サラリーマンの報酬は下がり続け、旅行に目を向ければ、国内旅行の安近短は当たり前となり、インバウンドに頼らなくてはいけなくなりました。

この過程で多くの旅館が危機を迎える一方、海外リゾートのように労務費を抑えたビジネスモデルで再生していく旅館が増えました。

どちらがよいかというのは愚問です。どちらもあり。肝心なのは、誰もが、その違いをわかる目線と自らの矜持を持つことでしょう。

両者ともに共通することがあります。それは、訪日外国人客の獲得です。もし、危惧することを挙げるとすれば、デフレ慣れしてしまった日本人から旅館文化が縁遠くなってしまったこと。今後の解決を協働したいものです。

(トラベルニュース7月25日号「井門隆夫のCS宣言」より)

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