JAL株式の再上場
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平成22年2月19日に上場廃止になってから、
2年7か月後の平成24年9月19日、日本航空の株式が再び証券取引所に上場しました。
上場廃止時の終値は1円でしたから、
上場廃止までになんとかJAL株を売り抜けた株主であっても、大きな売却損を抱えました。
さらに、上場廃止後は、更生計画に従って100%減資が行われたため、
JAL株の価値はゼロになってしまい、
売却叶わず最後まで保有していた株主には価値喪失損失が生じました。
今回の再上場による初値は3,810円、
国が保有していた株式の売却益は2,000億円にものぼるという話ですから、
心中穏やかでないという旧JAL株主の方もいらっしゃることでしょう。
100%減資前の旧JAL株の株主は、上記のとおり、大きな損害を被りました。
税制上は、旧JAL株に係る損失について、次の2つの特例があります。
一つは、売却することができた場合の売却損についての特例です。
上場株式の売却損は、確定申告することにより、
翌年以降3年間に渡って繰り越すことができ、
繰り越した年の株式の売却益から控除することができます。
上場廃止が平成22年2月ですので、
売却が平成21年だった場合には、平成22年から24年まで、
売却が平成22年だった場合には
平成23年から25年まで繰り越すことが可能です。
売却年分の確定申告をしていない場合には、これから確定申告することにより、
平成22年以後に納付した税額
(源泉徴収選択口座の場合には、源泉徴収税額)の還付を受けることができます。
次に、売却することができず、100%減資まで保有していた場合です。
上場株式を特定口座に保管していた場合には、
上場廃止後自動的に特定管理口座に移管され、
特定管理株式として100%減資直前まで保管されます。
旧JAL株が、この特定管理株式に該当する場合には、
その価値喪失損失(取得費相当額)を売却損とみなして、
損失が生じた年(平成22年)における他の株式の売却益と通算することができる特例があります。
さらに、その年で控除しきれない損失については、
上記の売却損と同様に、翌年以降3年間の繰越控除ができます。
この特定管理株式の特例は、
特定口座で保管していない場合、一般口座の場合、残念ながら受けることができません。
特定口座は、源泉徴収や確定申告不要の制度が特徴ではありますが、
今回のJALの騒動で、特定管理株式の価値喪失損失の特例の有用性が
認知されたのではないでしょうか。
JALのような日本を代表する大きな会社が倒産してしまうこともあるのですから、
証券会社に口座を持つのであれば、やはり特定口座が安心ですかね?
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