ゴルフ会員権の売却
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ゴルフ会員権に対する投資は、昔は華やかに行われたものですが、
今や、含み損を抱えたまま売却できずに保有している方や、
相続で取得したゴルフ会員権をそのまま保有しているという方も多いのではないでしょうか。
個人が保有するゴルフ会員権の税務は、大変特徴的です。
ゴルフ会員権には、株式の形式をとっているものと、
預託金の形式をとっているものの2種類があります。
前者は有価証券であるのに対し、後者は固定資産であり、
その法的性格は大きく異なるのですが、売却した場合の所得税取扱いは、どちらであっても同じです。
まず、売却益が生じた場合の取扱いをご紹介しましょう。
ゴルフ会員権の譲渡による所得は、「譲渡所得」として「総合課税」の方法により課税されます。
総合課税というのは、事業所得や給与所得など他に所得がある場合には、
それと合算されたうえで超過累進税率(所得金額により5%から40%の税率)により課税される方法です。
売却代金から、ゴルフ会員権の取得費と売却等の手数料を控除した金額が売却益になり、
そこから50万円の特別控除額を控除することができます。売却益が50万円以下であれば、所得税は課税されません。
ゴルフ会員権の取得費は、購入代金のほか、入会金や、
相続財産の場合には名義書換料も含まれます。
但し、ゴルフ場の年会費や、借入金利子などは取得費には含まれませんので注意しましょう。
また、相続後3年10か月以内に売却した場合には、
納付した相続税の一部を取得費に加算する特例を受けることができます。
なお、取得してから(相続財産の場合には、被相続人の取得時期)売却するまでの期間が
5年を超える場合には、特別控除額を控除した金額の2分の1が課税対象になります。
次に、売却損が生じた場合の取扱いです。
ゴルフ会員権の売却損は、事業所得や給与所得など、他の所得との通算が可能です。
一般の株式の売却損や、生活に通常必要でない資産の売却損は、
他の所得との通算が一切認められていないため、この通算は、異例の取扱いといえます。
他の所得と通算しきれない場合、もし、青色申告をしているのであれば、
翌年以降3年間の所得と通算したり、前年の所得と通算して所得税の還付を受けることも可能です。
ただし、青色申告をしていない場合には、これらの取扱いは一切受けることができませんので、
売却損が生じた年の所得と通算しきれない場合には、その損失額はその年で打ち切られます。
売却益が生じた場合でも、売却損が生じた場合でも、
比較的優遇されているゴルフ会員権ですが、資産家優遇との批判もあり、
いずれ損失の通算についてはできないように改正されるのではないかと、
随分前から言われています。
そろそろ、税制改正の動向が気になるところです。
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