相続で取得した土地を売却した場合の税金
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個人が、土地を売却した場合には、その売却代金から土地の取得価額(以下、「取得費」といいます)
及び売却手数料など譲渡に要した諸費用を控除して売却益を求め、所得税額及び住民税額を計算します。
ここで求められる売却益は、「値上益」であり、土地などの売却益に対する課税は、値上益の精算課税ともいわれます。
税率はその土地の所有期間により異なり、
5年超所有(長期所有)している土地(平成24年中に売却したならば平成18年12月31日以前取得のもの)であれば、
所得税15%、住民税5%の合計20%、
5年以下所有(短期所有)している土地(平成24年中に売却したならば平成19年1月1日以後取得のもの)であれば、
所得税30%、住民税9%の合計39%です。
ところで、相続で取得した土地を売却した場合には、
この土地の取得費と、所有期間はどのように考えればいいのでしょうか。
(相続財産の取り扱いは、相続の承認のしかたが「単純承認」であるか
「限定承認」であるかにより全く異なりますが、
ここでは、一般的な承認である「単純承認」を前提にお話しします。)
例えば、父親が平成22年5月に死亡したため、相続人である子Aが、
土地B(父親が、昭和60年に500万円で取得したもの)を相続し、
相続時における相続税評価額を1,500万円として、相続税が課税されていたとします。
その後、子Aが、土地Bを時価相当額の4,000万円で売却したという場合には、次のように取り扱います。
まず、相続で取得した土地の取得費は、被相続人の取得価額を用います。
したがって、土地Bの取得費は、相続時における相続税評価額ではなく、父の取得価額である500万円です。
そして、相続で取得した土地の取得時期は、被相続人の取得時期とされます。
したがって、土地Bの取得時期は、実際の相続があった時ではなく、
父の取得時期である昭和60年とされ、売却時における所有期間は5年超であり、
長期所有の場合の税率を適用します。
つまり、父親が取得してから、子Aが売却するまでに生じた
土地Bの値上益3,500万円(=4,000万円-500万円)については、
子Aの売却時にその全額が課税される仕組みになっているのです。
ところで、子Aは、土地Bの相続に際して、相続税を納付しています。
子Aの立場で考えると、立て続けに2回税金が課税されています。
課税対象が異なることから、二重課税ではない
(所得税等の課税は、財産を取得してから売却するまでに生じた値上益に対する課税であり、
相続税の課税は、相続人が財産を無償で取得したこと(受贈益)に対する課税)というのが法律上の解釈ですが、
子Aの重税感が強いことは事実です。
そこで、この重税感を緩和するため、売却益を計算する場合に、
相続税の一部を取得費として控除することが認められています。
但し、この特例には適用の期限があり、
相続税の申告期限(相続があってから10ヶ月後)から
3年以内の譲渡に限って適用することができます。
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