大黒たかのり(税理士)- コラム「給与所得者の特定支出控除の特例」 - 専門家プロファイル

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( 東京都 / 税理士 )
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給与所得者の特定支出控除の特例

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税金 2012-07-27 18:46

平成24年度税制改正では、給与所得・退職所得に関する取り扱いについて数点改正があり、

その中でも、「特定支出控除の特例」という規定は、その内容が大きく改正されました。

 

もともと、この規定は、給与所得者についても給与所得者特有の経費があれば、

確定申告することを要件にその控除を認め、

確定申告の習慣をつけさせようという目的で、昭和62年の税制改正で創設されたのですが、

特例適用者は、年間10人弱(1人という年もありました)で、

給与所得者は4500万人いるといわれていますが、実際にはほとんど使われることのない規定でした。

 

その理由が、この規定の適用要件の厳しさでした。

給与所得の計算は、収入金額から「給与所得控除額」という控除額を控除して計算しますが、

改正前の特定支出控除の特例は、特定支出というサラリーマン特有の経費(※)が、

この給与所得控除額を超えた場合に限り、その超える部分の金額の控除を認めるというものでした。

 

※ 改正前の特定支出の範囲

職務の遂行に直接必要な次に掲げる費用で、給与支払者から証明がされたものをいいます。

ただし、給与支払者から補てんされるものについては、非課税とされる金額は除かれます。

 

(1)通勤費用、(2)転勤に伴う転居費用、(3)職務上の研修費用、(4)職務上の資格取得費用、(5)単身赴任者の帰省費用

 

給与所得控除額は、収入金額に対して、その40%から5%を段階的に控除する仕組みですが、

たとえば年収500万円であれば、控除額は154万円、年収1,000万円であれば220万円で、

この金額を超える特定支出をすることは稀であり、非常に使いづらい規定になってしまっていたのです。

 

そこで、今回の改正では、適用要件を緩和し、特定支出の額が、

「給与所得控除額の2分の1(年収1,500万円を超える場合は125万円)」を超える場合に、

その超える部分の金額を控除することができるようになりました。

 

また、対象となる特定支出の範囲も拡大されました。

 

まず、「職務上の資格取得手当」に、改正前は除かれていた

「弁護士、税理士等独立業務を営むことができる資格を取得するための費用」が含まれました。

 

また、上記※の特定支出に加え、

「書籍等の購入費用および職務上支出した交際費」も対象になりました。(上限65万円)

 

今回の適用要件の緩和は、平成25年分の所得税から適用があります。

大幅な緩和であったため、適用要件を満たす給与所得者は増えるでしょう。

また、国家試験の受験を考えている方にとっては、

その受験費用を経費として控除することができることになったため、

受験の追い風にもなる改正でした。

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