マイホームを売却した場合の各種特例
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マイホームを売却した場合には、所得税の確定申告が必要です。
マイホームの売却については、さまざまな特例が設けられていますが、その適用関係は大変複雑です。
売却した住宅について、要件を満たした特例が複数ある場合には、納税額が最も少なくなる特例を選ぶことが大切です。
売却した住宅について、譲渡益が生じている場合には、次の3つの特例の適用を受けることができます。
(1)譲渡所得の課税の繰り延べ
所有期間が10年を超える住宅を譲渡した場合に、譲渡代金のうち、買換えた住宅の取得価額相当額までは課税しないという特例です。
但し、譲渡代金が2億円を超える譲渡については、適用がありません。
(2)3,000万円特別控除
譲渡所得の金額(譲渡代金から、取得費と譲渡費用を控除した金額)から、3,000万円を控除することができる特例です。(1)の特例と異なり、所有期間の要件はありません。
(3)軽減税率
所有期間が10年を超える住宅を譲渡した場合、適用される税率が、課税所得6,000万円以下の部分は、14%(原則は20%)まで軽減される特例です。
なお、(1)の特例は(2)、(3)の特例と併用できませんが、(2)と(3)の特例は併用することができます。
売却した住宅について、譲渡損が生じてしまった場合には、次のいずれかの特例を受けることができます。
但し、いずれの規定も、申告期限内(翌年2月16日から3月15日まで)に確定申告書を提出しないと、適用を受けることができませんので、注意が必要です。
(4)住宅の買換をした場合の損益通算及び繰越控除の特例
買換えた住宅を、10年以上の住宅ローンを組んで取得している場合には、売却した住宅の譲渡損失の金額を、その年の他の所得(給与所得など)から控除することができる特例です。
これにより、給与所得者の方であれば、年末調整されている源泉徴収税額の還付を受けることが可能です。
また、控除しきれなかった損失は、翌年以後3年間繰り越して、繰り越した年の所得から控除することができます。(繰越年の所得が3,000万円以下である場合に限ります。)
(5)住宅ローンが残ってしまった場合の損益通算及び繰越控除の特例
売却した住宅を10年以上の住宅ローンを組んで取得している場合で、売却代金よりも住宅ローンの残額の方が多い場合には、その多い部分の金額を限度として、住宅の譲渡損失の金額を、その年の他の所得から控除することができる特例です。
この特例は、(4)と異なり、買換えをしていなくても適用することができますが、売却代金の方が住宅ローンの残額よりも多い場合には、適用することができません。
また、控除しきれなかった損失は、上記(4)と同様に3年間繰り越すことができます。
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