特定口座は源泉徴収ありにする?なしにする?
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証券会社に開設する口座には、「一般口座」と「特定口座」の2種類があります。
一般口座の場合には、その口座での年間取引に係る所得金額は、
納税者が自分で計算し、確定申告をすることで所得税を納税します。
これに対して、特定口座では、その口座での年間取引に係る所得金額は、
証券会社が計算し、翌年1月31日までに、
「特定口座年間取引報告書」という明細書を送ってくれますので、
確定申告をするときも、その明細書に記載された金額を転記するだけで、
とても簡単に確定申告書を作成することができます。
また、特定口座を開設する場合には、「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」を
選択することができるようになっています。
源泉徴収ありを選択した場合には、その年の年間取引に係る所得金額に対して、
10%の税率で源泉徴収(天引き)され、それにより、確定申告をしなくてすむようになっています。
(源泉徴収なしを選択した場合には、確定申告をして納税しなければなりませんが、
源泉徴収されない分、売却代金の全額を再投資することができるというメリットがあります。)
ところで、特定口座で源泉徴収を選択した場合には、
確定申告の手間を省けるばかりか、もう一つ大きな特徴があります。
申告不要とした特定口座に係る所得は、その納税者の今年の所得として把握されないのです。
たとえば、サラリーマンのAさんの配偶者Bさんがパート主婦だとしましょう。
Bさんは、Aさんの扶養に入るため、パート収入を年間100万円(給与所得35万円)にセーブしていますが、
今年から株の投資を始め、売却益が30万円生じました。
Bさんが、Aさんの扶養に入るためには、今年の所得金額を38万円以下にする必要があり、
株の売却益を確定申告すると、Bさんの今年の所得は65万円になってしまいます。
これでは、Aさんで配偶者控除を受けることもできませんし、Bさんに所得税も住民税も課税されてしまいます。
もし、Bさんが、源泉徴収ありの特定口座を開設して、株の売買をしていれば、
売却益の30万円は確定申告不要にして、今年の所得として認識しないことができます。
結果Bさんの今年の所得は35万円となり、無事にAさんで配偶者控除を受けることができるのです。
この確定申告不要制度に金額の制限はありませんので、
源泉徴収ありの特定口座を開設しておけば、扶養に入れるかどうか心配することなく取引ができますね。
なお、源泉徴収ありを選択するためには、
口座を開設する際、「特定口座源泉徴収選択届出書」を証券会社に提出する必要があります。
開設する際に選択しなかった場合でも、その年最初に取引をするまでにこの届出書を提出すれば、
その年から源泉徴収ありに変更することが可能です。
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