
人間らしい「サバイバル」ってなんだろう?
須永 豪
スナガ ゴウ
(
長野県 / 建築家
)
須永豪・サバイバルデザイン
※ご質問・相談はもちろん、見積もりや具体的な仕事依頼まで、お気軽にお問い合わせください。
『時間』を創り出す
-
建築的
月の家
2006-11-16 00:00
細い方が幅20mmで、だんだん広くなって最後は幅65mm。
オープンハウスのときカミさんから、
「へー、こういう建具を作るのはあなたにしては珍しいね。なんでこうしたの?」
と訊かれたのだが、うまく答えが見つからなかった。
なんとなく でも 確かに、ここはグラデーションがいい、と思っていたのだった。
それから数ヶ月経って、ようやく自分でもわかった。
僕はここに『時間』を創り出そうとしていたのだ。
この家の居間は、奥様のお仕事であるリーディングのお客さんを招く場としても使われる。
来客にとっては、この居間は聖なる場所。
その部屋にたどり着くまでには、心の準備のための長いトンネルが必要なのだ。
たった一歩、1帖ほどの踏込みだが、グラデーションの効果と相まって、
そこに時間が流れる。
実際にはそれは1・2秒のはずだが、目がグラデーションのガラスに遊ばされることによって、
それが訪れるひとの心の内部で充分な心理的奥行きとなる。
そしていま、この文章を書いていたらもうひとつ気が付いた。
じつは、この踏込みと建具は、無意識のうちにバラガンのギラルディ邸がモチーフになっていたようだ。
この踏込は居間とおじいさんの和室との接続ともなっているので、
当初からの思いであった「おじいさんの部屋をハナレ的につくる」ということにもズバリ合致している。
ここはやはり長い渡り廊下なのだ。
リフォームという不自由のおかげで、人間の能力は引き出されるみたいだ。
http://www.sunaga.org/works/tsukinoie.htm
「建築的」のコラム
雑誌 Goodリフォームで(2006/12/14 00:12)
この家が一番いいのは雨の日(2006/11/27 00:11)
『月の家』オープンハウスのお知らせ(2006/05/25 08:05)