2012年12月の住宅ローン金利と今後の見通し
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まず変動金利ですが、これは据え置きとなりました。11月20日に日本銀行で開かれた、金融政策決定会合でもゼロ金利政策を全員一致で決定するなど、現在は金利を引き上げる環境にはありません。
日本銀行は、1%程度の物価上昇率が見込めるまでは、ゼロ金利政策を続ける考えをより明確にしましたが、10月30日に公表した最新の政策委員の見通しの中央値では、物価上昇率を12年度は-0.1%、13年度は+0.4%、14年度は+0.8%に下方修正しており、市場でもゼロ金利政策の長期化を予想する声が出ています。
次に固定金利です。12月の全期間固定金利は、三井住友銀行では前月比横ばいの2.48%となっています。但し、固定10年は前月比0.05%低下していることや、他行の30年固定も前月比0.05%程度低下していることから、実質的には低下基調と言えそうです。
先のソニー銀行の記事で、金融緩和期待という金利の低下要因と、株高という金利の上昇要因が相殺されて、金利はほぼ横ばいになると考えていましたが、結果的には金融緩和期待の方がやや勝り、長期金利は約9年ぶりの水準まで低下しました。これを踏まえて、各行の金利が低下したものと考えられます。(但し、株価も円安が進行したことから上昇しており、株式市場や債券市場に外国人や機関投資家の新規資金が入り、円安・株高・債券高という理想的な展開になりました)
今後の見通しですが、変動金利はしばらく据え置きとして、固定金利は今月16日に投開票の衆議院選挙の結果に左右される展開となりそうです。
大胆な金融緩和論者である、安倍総裁率いる自民党と蜜月関係にある公明党が過半数を握れば、政策進展の期待から長期金利はさらに低下する可能性があります。また、市場では来年4月に任期が切れる白川総裁の後任として、同じ金融緩和論者の竹中平蔵氏が次期日銀総裁になるという予測もあり、国会同意人事の関係でも実現には自民・公明の過半数が必要です。
一方で自民・公明だけでは過半数を取れず、維新や民主と連立を組まざるを得なくなると、政策進展の期待が剥がれますが、一番影響を受けるのは株価と考えられることから、長期金利は多少の上昇に留まるのではないかと考えています。
いずれにしても、今後の政界の枠組みは金融市場にも重大な影響を与えることから、注視する必要がありそうです。
なお、フラット35の金利は月初の第2営業日にあたる、12月4日に発表の予定です。
沼田 順(CFP(R)認定者・1級FP技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー)
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