
山本 雅暁
ヤマモト マサアキグループ
日経記事;『日鉄にエーザイ、共通項は「冒険」 執念こそ成長の原動力』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本雅暁です。
4月2日付の日経新聞に、『日鉄にエーザイ、共通項は「冒険」 執念こそ成長の原動力』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『日鉄会長「投資と賃上げできない経営者は身を引け」
鉄冷えと合理化の繰り返しだった日本製鉄が変わった。2兆円を投じる米USスチールの買収計画だけではない。2024年春季労使交渉では業界横並びの慣習を捨て、組合要求を上回る14.2%の賃上げ率を示した。。。』
本記事の中で、日鉄会長の言葉として、「世界各地で現地企業の需要を開拓してこそ、真の海外展開と考える。。。」との文章があります。
私は、中小企業の海外販路開拓・集客を支援する人間として、この文章に深く共感します。
私は、過去10数年、中小企業の新規事業立上や海外販路開拓・集客を支援してきました。この支援活動の中で、海外事業展開に失敗した中小企業や課外事業の維持に苦しんだ中小企業を見てきました。
私に支援を依頼した中小企業の中には、海外販路開拓・集客を実現できるまで支援するための時間が不足して、海外事業から撤退した会社が複数あります。
これは、一般的に海外販路開拓・集客を実施するには、最低でも数カ月の時間を要することによります。
上述しました海外事業展開に苦しんだ、あるいは、撤退した中小企業の原因は、海外販路開拓・集客に失敗したことによります。
以下のスライドは、中小企業庁が発行しました「中小企業白書2010年版」から抜歯しました、中小企業が国際化から撤退する理由です。
最も多い理由が、「輸出又は現地の事業が不振だった」になります。つまり、海外販路開拓・集客が上手くいかなかったことによります。
海外事業を開始した後に、海外販路開拓・集客に苦しんで、私に支援を依頼してきた中小企業に、ほぼ共通したことがあります。
それは、製造業の場合、国内の既存取引先が海外に製造拠点を移管するので、求められて客を追って海外事業展開の行ったことです。
これらの中小企業は、一定期間、既存の客から受注できます。しかし、その後既存の客は、コスト、性能などの条件を満たした別の供給元を探せば、発注先を変更します。
これは、経済合理性からみれば当然なことです。しょうしょうきつい言い方をしますと、海外事業を始めた中小企業が自前の販路開拓・集客を行わなかった油断が招いた結果です。
本日の記事に出てくる日鉄会長の言葉として、以下の文章があります。
【目指したのが真の意味での海外展開だ。日鉄は顧客の日本メーカーの海外進出に応じる形で海外に出て行った。しかし、「『客を追って』というのは本当の意味での海外展開ではない」。』
上述したように、海外販路開拓・集客には、最低でも数カ月の時間を要します。中小企業が海外事業の開始を本格的に検討し始めた時点で、しっかりと事前準備を行って海外販路開拓・集客を開始する必要があります。
また、中小企業が輸出事業を伸ばすには、自社商品やサービスが、新規性、差別化・差異化可能な機能や特徴などをもっていることが必要不可欠です。競争力のない商品やサービスは、国内外の競合企業との競争に勝てないことによります。
したがって、私は、国内の中小企業すべてが海外販路開拓・集客を成功できると考えていません。
逆に言いますと、中小企業が自社商品やサービスに上記のような強みをもっていれば、輸出事業の拡大に成功する可能性があります。
このブログ・コラムを読まれている中小企業が、これから海外販路開拓・集客を検討されいるのであれば、私が現在、月刊 近代中小企業『KinChu』に、「海外へ羽ばたけ 海外市場開拓のポイント」の総合タイトルで書いています、7回連載の記事が参考情報の一つになります。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A山本雅暁
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