三浦和義氏の逮捕と遡及処罰の禁止(5) - 刑事事件・犯罪全般 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

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対象:刑事事件・犯罪

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閲覧数順 2016年12月08日更新

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三浦和義氏の逮捕と遡及処罰の禁止(5)

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何が問題なのか
 
 それでは、今回の逮捕は、この遡及処罰禁止の原則に照らしてどのように考えたら良いのでしょうか。
 私はアメリカ法についての専門家ではありませんが、2004年のカリフォルニア州刑法の改正は、遡及処罰には当たらないという考えに立っているものでしょう。つまり、ロス疑惑の対象となった銃撃事件は当時も今も同州刑法の殺人罪(あるいはその共謀罪)に当たる犯罪であって、その点では何の変更もなく、ただ手続として外国判決がある場合に処罰出来るかどうかについて改正しただけなのだ、したがって遡及処罰禁止の原則には違反しないという考え方に立っているのでしょう。
 日本のある大学教授もテレビ取材に対しそのような考えを述べていました。遡及処罰禁止の原則は実体法(つまり、何が犯罪であり、どの程度の処罰をするかという刑法の定め)に対しての制限であって、手続法(刑事訴訟法など刑事裁判の手続に関する法律)に対する制限ではない、したがって手続法の改正は過去の事件に遡って適用することも許されるというのです。
 しかし、このような考え方に対しても私は違和感を覚えます。
 たしかに、手続法の改正は遡及が許される場合があります。たとえば、裁判の管轄ですが、一定の軽微な事件を簡易裁判所の管轄としている法律(裁判所法)を改正し、対象となる事件の範囲を拡大あるいは縮小する場合、改正前に起きた事件についても遡って適用することは許されるでしょう。なぜなら、簡易裁判所で裁かれることと地方裁判所で裁かれることとで被疑者・被告人の権利・利益に大きな差はないと考えられるからです。
     (次回に続く)