- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
バノン AOP
バノンをお土産にいただきました。
バノンは栗の葉っぱで包まれた山羊乳のチーズです。プロヴァンス地方のバノンという村の産で、AOP(原産地名称保護)が付いています。「プロヴァンスの星」なんて、キャッチコピーも付けられています。
じつは先月の料理講座で、私はうっかりと偽物のバノンを出してしまったのです。
栗の葉っぱで包まれたチーズに、日本語でバノンと書かれたシールが貼られていたので、よく確認もせず、
「わあ、バノンだ!」
と飛びついてしまったのです。
みなさんにお出しする段階で、包装をめくり、フランス語のシールが出てきてびっくり。
そこには別の名前が書かれ、産地はプロバンスでもない、創作の別物。
どうやら栗の葉っぱで包まれているというだけで、(故意なのかそうでないのか不明ですが)日本の業者によって勝手にバノンなんていう名前が冠されていた模様。
バノンは地名であり、チーズの名前であり、AOPのついた正式な産物ですから、別のチーズに名前を拝借するのは本当はいけないはずです。
授業ではその旨みなさんにお伝えし、ただチーズそのものには罪はない(フランスでバノンを名乗っているわけでないので)ことを話し、私は一人ぷりぷりと怒っていました。もちろんうっかりと騙された自分にも、です。
そしてこのすぐ後、フランス旅行に出かけられたとある生徒さんが、ならばと本物を買ってきてくださったのです。
ラフィアの紐をはずし、ペリペリと栗の葉を順番にはがすと、本物のバノンがでてきました。
じつにまろやかで上品な山羊乳のチーズでした。茶色い栗の葉っぱがやっぱりバノンには似合います。
タイムリーで素敵な贈り物でした!
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