「派遣会社の36協定の締結方法は?」 - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

小岩 広宣
社会保険労務士法人ナデック 
社会保険労務士

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閲覧数順 2024年04月24日更新

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「派遣会社の36協定の締結方法は?」

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 派遣法上、使用者が負う責任は、派遣元と派遣先とに二分されますが、36協定については、派遣元を使用者としています。したがって、派遣社員が残業を行なうためには、派遣元が36協定を締結して、労働基準監督署に届け出なければなりません。

 通常、36協定は、事業所単位で締結しますので、ひとつの会社でも、支店がふたつある場合は、それぞれの支店単位で協定します。ただ、派遣会社の場合は、派遣先、派遣先でそれぞれ協定を結ぶのではなく、派遣会社全体をひとつの事業所として締結します。一般の会社とは違った、例外的な取り扱いをするわけです。

 この場合の派遣会社の労働者の過半数代表者は、派遣会社に所属するすべての労働者であり、派遣中の労働者とそれ以外の労働者を含みます。したがって、いまは派遣就業していなくても、雇用関係にある労働者も含まれることになります。

 いろいろな派遣先企業に散らばっている派遣社員が、一同に会して代表者を選ぶことは不可能に近いと思いますが、法律上、派遣会社をひとつの事業所と見なして36協定の締結を求めている以上、すべての派遣社員の意思を何らかの方法で集約する必要があります。

 派遣社員が実際に勤務するのは派遣先であり、残業を指示するのも派遣先ですが、派遣社員と派遣先とは雇用関係にないため、派遣先は派遣社員について36協定を締結することはありません。派遣先としては、派遣会社で36協定が締結されることなく派遣社員に残業を指示すれば違法になりますので、雇用主である派遣元の責任は重大です。

 派遣先は、派遣会社が36協定を締結しているかどうかを直接知ることはできませんので、必要に応じて派遣元に情報提供を求め、連絡調整を行なうべきことが政府の指針でもうたわれています。

 派遣会社としては、派遣契約を交わす際に、残業や休日出勤などの勤務実態について派遣先と意思確認をしておく必要があるでしょう。