外壁タイルはいずれ落ちる−2 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

森岡 篤
有限会社パルティータ 代表
建築家

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対象:住宅設計・構造

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外壁タイルはいずれ落ちる−2

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家の話あれこれ
鉄筋コンクリートの躯体に現場でタイルを貼る工法では防げないため、外壁の型枠に大型のタイルを固定し、直接コンクリートを打設する、打ち込みタイルという工法が考えられました。

打ち込みタイル工法は、現場でタイルを貼る工法よりは改善しました。
しかし、打ち込みタイル工法では、コンクリートの打設を完全に行わないとやはり不良タイルを作ることになり、打設不良がタイルがあることで目視確認しにくいという管理上の問題点も出てきました。
不良タイルをなくす上で完全ではなく、工事費が高いこともあり現在ではほとんど用いられていません。

高層建物では、タイルの落下は人身事故につながり、絶対に落下させてはなりません。
「確実にタイルの剥離を防ぐ」ために、さまざまな工法が開発されましたが、現場でタイルを貼る工法では、どの工法も剥離を防ぐことはできませんでした。

一方、外壁コンクリート版自体を工場で製作する、プレキャストコンクリート(プレコン)という方法があります。
工場で厳密な管理された環境でタイルを打ち込んだプレコン外壁だけが、現在「信頼できるタイル仕上」とされています。

信頼性のあるゼネコンは、タイルを現場で貼る設計の建物(高層)は、プレコン外壁に変更しなければ、仕事を受けないと思います。

プレコン外壁は、現場で打設する外壁に比べ、高価である他、サイズに制限がある(製作、運搬)ため、デザイン的に制約されます。
高層建物では、プレコンの目地が一つのリズムにもなりますが、住宅では余り使いたくありません。

結局のところ、デザイン志向も相まって、いずれ落下するかもしれない不確実な外壁タイルは、当事務所では使用していません。