部下へ贈る言葉の花束【第3章-1】 - キャリアプラン全般 - 専門家プロファイル

松山 淳
アースシップ・コンサルティング コンサルタント/エグゼクティブ・カウンセラー
東京都
経営コンサルタント

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閲覧数順 2016年12月07日更新

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部下へ贈る言葉の花束【第3章-1】

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部下へ贈る言葉の花束

日に新た(1)



閉まりそうになるドアを無理にこじあけた遼太は
北風と一緒に電車に乗りこむと、
右に左に視線を泳がせ席を探した。

それほど混んでいない。

目の前に老人が立った時の居心地の悪さが嫌いで
電車では座らないことにしているが、
打合せの前に、どうしても書類に目を通しておきたいので、
あわててシートに腰掛けた。

去年、30才の誕生日に妻がプレゼントしてくれた
向日葵色のネクタイを少し緩め、
深いため息をついた。

「黄色はね、運気があがるのよ」

と、2DKの自宅で開かれた誕生日パーティで
小さなケーキを二人で食べた後、
笑顔でくれたものだ。

「運気」とか「風水」とか、
そういったものに興味はないが、
大事な会議や商談がある時、遼太の胸にはいつもそれがあった。
そして、なぜか妻の言う通り、その度仕事はうまくいった。

夕焼けに染まろうとする外の景色に一度だけ目をやると、
所々皮がすり切れた鞄を膝の上に置き、
徹夜で作り上げた書類を引っぱり出した。

クリアファイルにおさまっている企画書は
取引先の分を含めて五部用意した。

部数を改めて確認すると
ファイルの中にあった一枚の葉書を見つけ、
しばらく眺めた後、
胸の裏ポケットにしまった。

左右に座る人を横目で確認すると、
右の女性はファッション雑誌を読み、
左のサラリーマンは腕を組み、目をつむっていた。

目の前の席では、
ランドセルを背負った小学生がゲームに熱中していた。
それでいいのか、と思いながら遼太は書類の世界に意識を落とした。
ほどなく耳に届く電車の音は、消えていった。

(なんとしても、この企画を通さないといけない)

心の中でつぶやくと、かつて上司だった上島課長の顔が思い浮かんだ。


*1
*1この物語はフィクションです。 登場する人物名・団体名等は実在のものと一切関係ありません。