大人のきれい字　「日本語あれこれ！　表現」　ー　緑　ー

こんにちは、今井淑恵です。
前号「大人のきれい字　実技編　ー緑ー」の日本語あれこれ！表現です。
 
事務所から見える六甲山の「緑」は、一色だけでは言い表せない樹木の「みどり」が青い空に映えてキレイです。
 
「山々は　萌黄浅黄や　ほととぎす」と詠んだのは、正岡子規。
若葉色、鶯色、山吹色、松葉色など、これらの漢字を見るだけでどんな色なのかイメージできるってすばらしい。
 
四季の移り変わりが、日本人の感性を豊かに育んでくれたのは確かでしょう。
では、「みどり」の表現にふれてみましょう。
 

◆────────────────────────────◆
　　ことのは探訪　《あれこれ！表現　ー緑ー 》
◆────────────────────────────◆
 
　もとは新芽（特に松の新芽）の意味で、色名に転じたとあります。
　
 
【 緑雨 】……りょくう……………新緑にふりかかる雨。
 
【 緑陰 】……りょくいん………　青葉の陰。
 
【 新緑 】……しんりょく………　初夏の若葉のみずみずしい緑。
 
【 緑綬褒章】
　　……りょくじゅほうしょう……親・祖父母に孝養を尽くした人、
　節操の正しい婦人、主人に忠実な使用人で行いに優れた人、
　または家業に精励する人を表彰する1881年度制定の褒章。
 
【 緑の洞 】……みどりのほら………仙人の住処の意味。
 
 
 
★語源★
 
　　「みどり」という語が登場するのは平安時代になってから、本来「瑞々しさ」を表します。
　　それが転じて新芽の色を示すようになりました。
　　英語のグリーンも「草」(grass)や「育つ」(grow)と語源を同じくし、新鮮さを表しています。
 
　　また「緑」を「碧」や「翠」とも書きます。
　　この場合、やや青みの強い色で比較的「藍緑」に近い色合い。「翠」はカワセミの羽根の色を
　　表しているそうです。
　
 
  　海や湖の色を「紺碧」、
　　生まれたばかりの赤ちゃんを「嬰児（みどりご）」、
　　キレイな髪を「緑の黒髪」など、
 
　　美しい日本語の表現がいろいろあります。
 
 
 

★「みどり色」いろいろ★
 
　　
　　ミドリと読む字　→　　嬰、孩　緑、翠、碧、
 

　　標　準…………………　緑　／　グリーン
 
　　薄い緑…………………　浅緑　／　薄緑　／　黄緑　／　草色
 
　　濃い緑…………………　深緑　／　濃緑
 
　　みずみずしい緑………　新緑　／　若緑
 
　　黄味がかった緑………　黄緑　／　草色／　鶸色(ひわいろ)　／　萌黄(もえぎ)
 
　　ややくすんだ緑………　鶯色　／　オリーブ色　／　モスグリーン
 
　　黒っぽい緑……………　利休色
 
　　エメラルドグリーン…　海や湖の色を表す時よく使う。エメラルドは５月の誕生石。
 
 
 

★四字熟語★
 

【 紅灯緑酒 】
　　　……こうとうりょくしゅ………　華やかな歓楽街の喩え。紅い灯と緑の酒。
 
【 柳緑花紅 】
　　　……りゅうりょくかこう………　自然のままの美しさ。春の美しい風景（柳は緑、花は紅）
 
【 緑葉成陰 】
　　　……りょくようせいいん………　子孫の繁栄を称える。緑の葉が陰をなすほど茂るの意。
 
 
ー参考資料ー
　　広辞林、学研「ことば選び辞典」、学研「日本語知識辞典」、
　　角川書店「字源」、小学館「慣用ことわざ辞典」、三省堂
　「例解新国語辞典」