- 藤木 哲也
- 株式会社エアリーフロー 代表取締役
- 東京都
- 不動産コンサルタント
対象:リフォーム・増改築
- 木下 泰徳
- (アップライフデザイナー)
- 溝部 公寛
- (建築家)
いつも感じるのが電線がじゃまだな、と思うこと。ふだん、電気でまかなっている生活をしてるわけだし、電線には電話やインターネットのもある。電線をなくすことはできないですね。だけど、そんな電線を地中に埋めることで、街並みが見違えるようになります。
電線がないとそれだけですっきりと美しい感じなんですが、どういうわけかひとつひとつの建物もきれいです。電線がないから建物の表情がしっかり見えます。いや、見えてしまうというか。だから、電線をなくすことではじめて家の美観を気にするようになる人もいるんじゃないかと思います。
これはどっちが先なんだろうと思います。電線がなくなったから家をきれいにしようと思うのか、それとも家を美しく見せたいから電線をなくすのか。と、そんなことはどうでもよくて、とにかく電線が台無しにしてるんです。電線がない区画は、周辺の電線ありの区画よりも物件が1~2割高く取引されるという調査データもあります。たしかに電線地中化には1軒当たり200万ほどの費用がかかると言われています。しかし、資産価値のプラス分はそれを上回りますよね。逆に言うと、電線が資産価値を下げているとも言えます。もちろん、1軒だけ電線をなくすのは無理な話で、街区で合意形成をしてやる必要があります。その費用分担や維持管理など難しい問題はあります。
結局日本は、都市化を進め、道路ははりめぐらし、電気、水道、ガスなどのインフラの充実をしてきましたが、こと電柱をなくすことについてはすっかり立ち遅れてしまってます。1戸当たり200万かかるとすれば、日本中全ての電線をなくすのに100兆円かかってしまいます。これを50年がかりでやるとしても毎年2兆円かかります。プライマリーバランスにも届かない国家予算や地震後で存続すら危うい電力会社にもこれは期待できません。
もっとも、電線をなくすことは全てにやらなくとも、少しずつでもやっていけば効果があることをこの緑園都市の事例が教えてくれます。緑園都市も、無電柱化しているのはメインの通りだけで、1本中に入るとやはり電柱があります。惜しいとも思いましたが、メインの通りの美観が保たれていることで、エリア全体の印象を上げているとすれば、それも街全体の戦略としてありかなと。きっと費用対効果の高いやり方があるんではないかと。あとは投資資金を分担する仕組みを作ればいいだけですから。
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