7.残業時間と手当(その1) - 社会保険労務士業務 - 専門家プロファイル

佐藤 広一
さとう社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士
社会保険労務士

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対象:人事労務・組織

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7.残業時間と手当(その1)

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給与明細書から労務管理を紐解く
 給与明細書において、残業手当は勤怠項目との密接が深く、残業した時間に連動して金額が決定されるために、毎月の残業時間が変動すれば残業手当も必然的に増減します。

 労基法では、使用者は労働者に休憩時間を除いて1日について8時間、1週間について40時間(一部の特例事業所は44時間)を超えて労働させてはならないとしています。これを法定労働時間といいます。

 しかし、会社が過半数労働組合若しくは労働者の過半数代表者との間で、「時間外・休日労働に関する協定(いわゆる36(サブロク)協定)」を締結して労働基準監督署へ届出を行えば、その協定した範囲内で法定労働時間を超えて労働させることができます。

 逆を言えば、使用者は一定の手続きを取らなければ労働者に残業をさせることができないことなります。したがって、36協定の締結は労務管理の上で非常に重要なポイントといえます。

 残業手当の算定に当たっては、基本給を初め、原則としてすべての手当を計算の基礎として算入しなければならないこととされていますが、家族手当や通勤手当など一定の手当は除外することができます。

 また、分母に当たる1箇月あたりの平均所定労働時間は、1年間の総労働時間を12箇月で割って算出した時間です。

 一般的に残業手当は、通常の給与に25%以上を上乗せした「割増賃金」としなければなりませんが、これは法定労働時間を超えてから初めて生じるものです。

 したがって、就業規則などで会社が決めた所定労働時間とは必ずしもリンクはしません。例えば、会社の所定労働時間が7時間であった場合、法定労働時間である8時間に達するまでの1時間については、特に割増賃金とする必要は無く、通常の給与を支払えば事足りることになります。