要介護者が担当ケアマネジャーを替えたくない時 - 医療経営全般 - 専門家プロファイル

福岡 浩
有限会社業務改善創研 代表取締役 業務改善コンサルタント
神奈川県
経営コンサルタント

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閲覧数順 2016年12月03日更新

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要介護者が担当ケアマネジャーを替えたくない時

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介護保険サービスの利用者やその家族が、担当のケアマネジャーさんとの関係が良好で信頼しているにもかかわらず、制度上の理由などでケアマネジャーが替わる時があります。

当たり前のことですが、在宅で生活していた要介護高齢者が介護施設に入所することになれば、それまで担当したケアマネジャーとの関係はなくなります。これは制度上もっとも多くある話です。しかし、よく考えてみると要介護高齢者の在宅生活を支えるために奔走し、何かにつけ相談に応じてくれたケアマネジャーと「別れる」ことになるのは、要介護高齢者にとって大きなストレスとなることは容易に想像できます。

一般的には加齢とともに様々な喪失があり、子どもの独立、定年退職や相次ぐ知人や親戚縁者、配偶者等々の死去による喪失を経験します。人生の最終章に来て、本当に信頼できるケアマネジャーに出会ったにもかかわらず、制度上の決まりであるがために施設に入所することになると、「別れる」ことになります。住み慣れた家を離れる不安、自分のことをよく分かってくれているケアマネジャーとの離別は、要介護高齢者にとって大きなストレスとなっていることは事実です。

平成18年度から導入された介護予防サービスについても同様です。要介護認定審査会で、「要支援1」や「要支援2」と判定された高齢者は、地域包括支援センターの担当ケアマネジャーが対応しますが、その後、「要介護」に進むと、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに替わります。その逆もあります。「要介護1」だった方が徐々に元気になり、要介護度が改善し、「要支援2」になれば、それまで担当したケアマネジャーは、地域包括支援センターへ引き継ぐことになります。最近よく耳にする話ですが、要支援と要介護を一往復した例もあります。担当ケアマネジャーと別れたと思ったら、また再会するという妙な現象が起きます。目まぐるしく替わるケアマネジャーに混乱する要介護高齢者の心情は、全く考えられていないのです。

在宅生活を継続していくなかで、介護保険ザービスを利用する方法によっては担当ケアマネジャーが替わることがあります。地域密着型サービスと言われる「小規模多機能型居宅介護サービス」(通い、泊まり、訪問)を利用することになると、それまでの居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、「小規模多機能型居宅介護サービス」事業所に常駐するケアマネジャーへ引き継ぐことになります。同時にそれまで利用していたデイサービスの介護職員や訪問介護のヘルパーさんとも別れることになります。このことがよく理解できない利用者やその家族が多いのは当然です。

在宅から介護施設への入所、要支援と要介護の往復、居宅介護サービスから地域密着型サービスへの移行、どの場合でもそれまでの要介護高齢者とケアマネジャーが築いてきた関係性は断ち切られます。要介護高齢者にとって、信頼し心の支えになっていればなおさら、この関係の喪失は、大きな心理的ダメージがあると思います。

余談ですが、長年の在宅生活から介護施設へ入所することになると、かかりつけ医とも「別れる」ことになります。要介護高齢者にとって自分の身体のことを一番よく分かっている先生と別れ、介護施設が提携している医療機関の医師へ替わります。このことも様々な問題を抱えています。入所後間もなく亡くなられた事例もありますが、それは、かかりつけ医と施設側の医師との情報伝達や情報共有がほとんどできていないために起きる悲劇です。一般的には見え難い医師の療養方針により、それまで服用していた薬を別の薬に変えたり、療養の方針が大きく変わったり、様々な変化が要介護者本人の心情に関係なく進行している場合もあります。

「ケアマネジャーを替えたくない時」が想像以上に多く訪れます。医療では「かかりつけ医」という考え方がありますが、それも前述のような矛盾を抱えています。せめて、ケアマネジャーも専属または専任の「かかりつけケアマネ」という発想が必要ではないかと思います。しかし、残念ながら現状では介護保険制度上、主体的であるべき利用者とケアマネジャーの「出会い」と「別れ」を繰り返すことになり、要介護高齢者にとっては心的負担になっているのです。

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