- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設備
- 松林 宏治
- (住宅設備コーディネーター)
- 松本 秀守
- (住宅設備コーディネーター)
【 このコラムはブログ記事をまとめた物です。詳しくはブログ「よもやま建築日記~家づくりの現場から~」をどうぞ。 】
なんで住宅設備機器は年々高くなっていくのでしょう?
話は簡単です。
どんどん、次々、毎年毎年、新型が出てくるからです。
TVなどの家電とまったくいっしょ・・
たとえば便器・・
シャワートイレ一体型便器が出てきた頃からなんだかおかしくなってきた。
抗菌便器。
自動開閉。
消臭。
リモコン。
自動洗浄・予備洗浄。
タンクレス便器。
防汚便器。
節水便器。
さらに節水・・
そしてECO便器?
そうそう・・
自動開閉って女性には便利でいいんでしょうか?
でも、男性には何の意味もない・・
勝手に上蓋だけあいて、むしろぱっと便座を開けられなくてめんどくさくてしょうがない・・
かえって不便!
まあ、年寄り子供ならとにかく・・
大の大人の男性が、便座に座って小用を足すのが、さも良いことのように言われるいびつな世の中ですから・・
それもいいのかもしれませんが。
そうやって毎年毎年、新製品が発売される、たびに値段が上がる。
節水節水、エコエコって・・
わざわざ電気いっぱい使っといて水だけ減らすのもなんか違うんじゃない?
なんて、ちょっと思いますが・・
そして新型がでると・・
以前の便器はなくなります。
TVといっしょ!
メーカーは、もうブラウン管は作らないのです。
ま・・
それで、日本の便器は世界一!になってることは間違いありませんが。
上海万博で世界が驚いた日本の便器のその性能!
もちろん、値段も世界一!・・か?
それでも何でも・・
値段はとにかく・・
より節水に、よりエコに、より汚れにくく清潔な便器になるのはとても良いことであるのは確かです。
でもね、残念なことに便器とTVはちょっと違うのです。
何が・・?
それは・・
便器は一度買ったら、普通は二度と買い換えないのです。
根本的に壊れない限り・・
これは便器に限らず住宅設備機器は皆々そうなのですが・・
TVなどの家電の平均消耗期間は10年くらいだそうですが?
便器はたぶん30年とか50年とか・・
その家がある限り。
本来そうでなくてはならない。
便器はそう簡単に故障しました、では買い換えましょうではすまないのです。
故障したその日から、その家には住めなくなってしまう・・
トイレに行けないのですから。
お風呂なら、修理するまで我慢、それか銭湯に・・
キッチンなら、修理するまで外食にすればよい。
エアコンが壊れたからって住めない訳じゃない暑いだけだし・・
冷蔵庫が壊れたって次のを買うまでその日の分だけ食材を買ってくるだけのこと。
でも、便器だけはそういうわけにはいかない。
ですから・・
プランニング的にトイレを2箇所にする・・
というのはフェイルセーフから言っても計画額的には勧めるべきなのです。
それにしても本来、便器というのは出来うる限り壊れにくく作るべきで・・
耐久性がもっとも高くなければならない住宅設備機器であるはず。
こった作りの物は故障しやすいし、電気を使うと故障しやすい。
上水道をためて水圧だけで流す方が絶対的に壊れにくい。
便器は家電ではないのです。
メーカーは便器もどんどん買い換えるようしたいのかもしれません。
では、なんでこんなに年々住宅設備機器は値段が高くなっていくのでしょう?
それは、もちろんメーカーの戦略とか宣伝とかいろいろあるのは確かなのですが・・
そう、その上で、お客さんがどんどん住設機器の高価な物を望むようになってきているからです。
そして、それは・・
ようするに・・
わかりやすいから!
で、あると思われます。
家を建てるときに人は・・
雑誌を見たり、人の家や展示場を見たり、TVを見たり、ショールームに行ったりします。
すると、そこに素晴らしい便器があるわけです。
水をジャーっと流してみると・・
おー!なんかうちのよりずっと水量が少ない!エコだ!
ウワー!リモコンで水が流れるなんて、どこかのお店みたい!
となる・・
わかりやすいのです。
断熱材や地盤なんてどんなに詳しく説明されても実際に体験することは出来ない。
展示場に行ったって室内にいてもそれの効果なんてわからない・・
そもそも、目では見えない・・
外壁の防汚なんて今見たって何にも違わない・・
見た目はまったくいっしょ・・
本当に何十年も汚れないのかどうかなんてわかりっこない・・
善し悪しの違いなんか目には見えない・・
わかりにくいのです。
ですから、キッチンや便器やお風呂に憧れを持つ方は多いですが・・
断熱材はこれがいいとか言う人はめったにいません。
地震に強くして欲しいという抽象的な要望はあっても・・
この制震にしたい、なんて人がたまにいるくらいのもので・・
こういう地盤工法が安全だと思うのでいいですなんて言う人は皆無です。
具体的に目で見てわかる・・
わかりやすいことに憧れをもたれることが多い・・
ということじゃないのか、と思っています。
ですから・・
どんどん新しい最新の機器が出てくると、それにしたくなり最新の物は以前の物より当然高価です。
いずれにしろ、便器もガスコンロも給湯器も電話機も・・
もともとは電気を使わず使えたはずの住宅設備機器は・・
少々、昔に戻した方が良いような気がします。
停電になると、何にも使えない・・
では、困りますから。
いやー!
便器の悪口言うた言うた・・
なんか、ちょっとすっきりしたぞ・・
ところで・・
なんでこんなに住設機器を目に敵のように言うのか、というと・・
関東や東北の方で、停電の際に困った!
という方が多々いたらしいからです。
一体型のタンクレストイレで手動の流し方がわからなくて使えなかった・・
IHはしょうがないとして、ガスコンロが点火出来なかった・・
まあ、マッチ使えばいいんですが、そもそも最近はみんなタバコ吸わないのでマッチもライターもなかったって・・
便器の自動開閉が開かないので、無理矢理手で開け閉めしてたらぶっ壊れた・・
なんて何人から聞いたことか!
そうなると、一体型便器の場合全部交換?
冗談でしょ!
ま、そのへんはメーカーもよく考えてるとは思いますが。
エレベータの停止やマンションなどの断水は誰もが想像つきますし・・
当然、対策もするでしょう。
でも、便器は先にも書きましたように絶対に必要な壊れては困る物なのです。
昔のトイレは停電したって何の問題もなかった。
電話もそうです。
昨今の電話は停電するとみんな使えません。
ほんの10年くらい前までは一般用の電話機は停電したってみーんな使えた。
これなんか、携帯電話を普及させるためにわざとやってんじゃないの?なんて勘ぐってしまう。
今までの何倍ものお金払ってるのに非常時に何の役にも立たない住設機器ってどうよ・・
って思うのです。
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