第3章 苦い後味 ? - 民事事件 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

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対象:民事家事・生活トラブル

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閲覧数順 2017年08月16日更新

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第3章 苦い後味 ?

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  1. 暮らしと法律
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連載「刑事法廷」
第4回

 こうして公判は進み、最後に検察官の論告、弁護人の最終弁論を経て審理は終結しました。ところが裁判官が指定した判決言い渡し日はなんと、審理が終結してからわずか4日後でした。
 これを聞いて私は不吉な予感がしました。真剣に無罪を主張してきた私としては、どんな判決が下されるにせよ、裁判官にはじっくりと時間をかけてこれまでの証言などをよく検討して結論を出してもらえるものと期待していたのですが、これでは、論告・弁論を聞く前に既に裁判官は結論を出していたとしか考えられないではないか、と思われたのです。裁判官の意識や制度からすると無罪判決よりも有罪判決の方がずっと書きやすいことが否定できないのが現実ですから、こんなに早く判決を下すとなると、被告人に有利な判決は期待できそうもないと危惧されました。
 そして4日後に言い渡された判決は私の予感のとおり、懲役2年という有罪判決でした。判決は、被害者Kの調書と目撃者Fの証言によりHの有罪は証明されているとし、Hのアリバイ主張については、Tには眠っていた時間があること、Nも帳場にずっといたわけではないことから、Hが外出しなかったとは断定できない、また高校野球の試合経過は交番で見たテレビで知ったと思われるとして排斥しました。
 閉廷後、私はすぐにHと面会することにしました。無実の主張が認められず、落胆しているだろうHを励まし、控訴の手続きをとらせるためです。
 ところが、裁判所の面会室に現れたHは開口一番、私にこう言ったのです。
「先生、思ったよりも軽かったですね」
 なんと、彼は私に嘘をついてシラをきっていたのです。

(次回へ続く)