- 羽柴 駿
- 番町法律事務所
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
公判は事件から2ヵ月後に始まりました。公判の最初の罪状認否でHは「私はやっていません。その時間には家で寝てテレビを見ていました」と述べて否認しました。
検察官の証人は被害者Kと事件の目撃者F。Fは犯行目撃後、警官に頼まれて交番に行き写真を見せられたので、「犯人はこの男に間違いない」と答えた、その後Hが交番に連れてこられて、警官から「あの人か」と聞かれたので「似ている」と答えた、法廷で改めてHを見てみると、やはり犯人に似ているとはいえるが断定はできない、と証言しました。私は目撃者Fに断定はできないと認めさせることができたので、まずまずの証言であると考えました。
しかし、証人尋問が予定されていたKは結局所在不明で証人尋問ができなくなってしまったため、刑事訴訟法の規定により検察官が作成したKの供述調書が証拠として採用されることになりました。この書面ではHが犯人として断定されていたので、私としてはこの書面が証拠として採用されることを避けたかったので反対したのですが、結局採用されることになってしまったのです。
弁護人側は例の新聞記事を証拠として提出する他、旅館の経営者の妻Nと、Hの妻Tに法廷で証言してもらいました。被告人質問では、Hに事件当日の行動を詳細に供述してもらい、高校野球の試合経過もよく知っていることを示しました。
(次回へ続く)