【対訳付き】私の教え方（英語版：MY TEACHING STYLE）

よくいろいろな方に「好きな教え方は何ですか。」と質問をされます。実のところ、ちょっとおかしな質問だな、といつも感じています。というのも、レッスンの際は、かならずしも私が好きで得意な教え方を用いるのではなく、今私の目の前にいるこの生徒さんに一番あっていて、そしてその方に最も効果的な方法を用いるべきだ、と考えているからです。

あえて質問に答えるとすると、私は好きな教え方がありません。レッスンの時は、下記のような点を考慮して、教え方を変えています。

■ひとりひとりの学び方

学習者の学び方は大きく分けると、聞いて学ぶ、見て学ぶ、話して学ぶ、やって学ぶの4通りがあります。皆さん、この4種類の学び方をそれぞれの組み合わせて学習しています。だからこそ、その人にとって傾向の強い得意な学び方にあわせて、教え方を変えるようにしています。

■ひとりひとりの目的と目標

例えば、次週に英語の会議が控えていて緊急事態に直面している人には、基礎を築くための詳しい説明はほどほどにして、その日をやり遂げるための実践に沿ったアドバイスやフィードバックなど、練習と準備に時間を費やすようにします。

■ひとりひとりのその日の状態

同じ生徒さんでもレッスンのたびに、その方のコンディションは変化します。もし疲れているようであれば、軽めのこと、例えばリスニングや音読に力を入れるかもしれません。元気でやる気満々の時は、難しい質問や悩ませるような質問で考えさせることもできますね。

■それぞれの興味のある話題

人は、興味があることはものすごい集中力で吸収します。もし生徒さんが質問や、悩み、また必要なことなどがある場合には、そちらを優先してレッスンを行います。

このような理由から、私の教え方は、たとえ同じ生徒さんであっても、レッスンごとに変わります。

では、私の生徒さんはそれに関してどのように感じているのでしょうか。もし、私の生徒さん10人に、私がどんな教え方をするのかとたずねたら、きっと10通りの答えが返ってくると思います。ある人は、私はいつも教科書に沿ってきっちり授業をすると、もう一方の人はフリースタイルの会話だと言うでしょう。まずは文法の説明から入るという人もいれば、文法の説明は全くしない、という人もいると思います。面白いことに、これは全部本当のことなんです。

あるレッスンでは、とても生き生きと元気に身振り手振りを大きく使い、生徒さんと一緒にほとんどはしゃいでいるような時もあります。また、他のレッスンでは、どちらかというと静かで落ち着いた感じの人だったりもします。これもみんな生徒さんひとりひとりにあった教え方をしているからなんですね。

もちろん、私の生徒さんがどう感じているかを私か代弁することはできませんが、あえて言うなら、私の教え方に関して特に何も感じていないのでは、と思います。ちょうど、素晴らしく快適なエアコンは、その空間にいる人にエアコンの存在さえも意識させないように、それでいて心地よい感じをさりげなく残してくれるように。

そんなさりげないところに、細心の注意を払う、それが私の教え方といっても良いかもしれません。