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澤田 且成
澤田 且成
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吉原 賢
吉原 賢
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閲覧数順 2016年12月07日更新

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そのブランド・ロゴマーク、使い方は間違っていませんか?

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スターバックスとGAPにみる“ロゴマーク変更騒動”

 

新年が明けた1月5日、スターバックスは公式ウェブサイトで、ブランド・ロゴマークを新たにすることを発表し、同時に新しいロゴマークも公開されました。このロゴマーク変更が発表されて以降、同社のサイトには「スタバ愛好者」からのコメントが殺到している様子。インターネット上のニュースサイトでも、『スターバックスがロゴ刷新、ファンは賛否両論:CNN.co.jp』『米スターバックスがロゴ変更、ファンからは非難の声が噴出:ロイター』といった伝えられ方をしています。

 

ロゴマーク変更に伴って、ファンが大騒ぎという話題は、昨年の10月に起きたアパレルブランドの『GAP』が記憶に新しいところ。『GAP、ネットクチコミの悪評に耐えきれず新ロゴを撤回:TechCrunch』『Gapのブランドロゴ変更が白紙に:Fashionsnap.com』『GAPの新ロゴにネット上で不人気、撤回に:CNN.co.jp』

 

とこんな感じでGAPの場合は、FacebookやTwitterで騒動になったあげく『やっぱり、ロゴ変更止めます。』となった訳ですが、同じようにネットでの議論が起こっている、スターバックスでも“騒ぎ”になるかというと、企業側の行動、デザインの変更内容の両方から考えると、そうはならないだろうと私は思っています。それは、同じような騒ぎのようで、その内容や本質が大きく異なるからです。

 

 

GAPのロゴ変更の意図は結局何だったのか

GAPやスターバックスのように、企業規模も大きく、市場での認知も浸透し、事業としてもそれなりの期間継続しているブランドにおいては、ロゴマークは顧客(あるいはファン)とっては重要なアイコンとなっていますから、もはや企業だけのものではない、と企業側は意識しておく必要はあるのは確かです。ましてやソーシャルメディア時代、ブランドの顧客やファンと関係性を積極的に持つことが、変わったことではなくなってきている現状では尚更のこと、ロゴマークはある種の共有財産ともいえます。

GAPの新ロゴ騒動の場合は、顧客との共有ウンヌン以前の、お粗末なマネジメントの結果からの迷走という印象しか受けません。

これまでとは全く異なる印象のロゴマークを突然公表するところにどの様な意図があったのか。少なくとも内部では何らかの企業戦略としての意図が有った“はず”です。その上で(社内か社外か解りませんが)プロのデザイナーが制作した(であろう)デザイン案を企業の意志として選び、外部へ公表した“はず”。

それが批判に晒されると、「顧客にも関わって欲しい」と公募の方針を打ち出し(これが最初からのGAPの意志なのであれば、順序を逆に先に公募があり、その中で選択基準を明確にしながら、新ロゴを意志決定すべき)、更に騒ぎが収まらないとなると、今度は「やっぱり新ロゴ止めます」と。この間わずか1週間ほど。このような行動は、外部からのみならず、社内からも失望と不審を新たにつくりだしただけではないのかと伺えます。

Facebookの公式ファンページからネット上に拡がった批判へ対し、素早く反応しすぐに新ロゴを撤回した、この一連の行動は、商品やサービスに対する市場クレームへの対応であれば、ソーシャル対応力が高い企業として褒められても良いのでしょうけれど、自社のブランドロゴマークに対する取り組みとしては、もはや何がしたかったのか意味不明な印象は拭えないでしょう。口の悪い人に言わせると『思いつきで、誰かが急にやりたくなった、ってことね。』でおしまい!

 

企業としての意図・意志が見える、スターバックスのロゴマーク変更

一方、今回のスターバックスの方はというと、新しいロゴマークでは、これまでのロゴマークにはあった『STARBUCKS』の文字も『COFFEE』の文字もなくなり、それまでは中心に配置されていたセイレン(サイレン)の図案のみとなっています。

デザイン変更の内容からも企業戦略の意図が伺えるし、公式ウェブサイトでも『Looking Forward to Starbucks Next Chapter』(http://www.starbucks.com/blog/looking-forward-to-starbucks-next-chapter)と説明がされています。同時にハワード・シュルツCEOのメッセージビデオも掲載されています。

シンプルに言えば『コーヒー以外の分野でも頑張るよ!』ってことの宣言ですね。ブランドとしての次の成長を求める上で、彼らが重要な価値と位置付けてきている『サードプレイス』での経験をより充実させるというのも有るでしょうし、インスタント製品をコンピニで販売するような新しいチャネルでも頑張るよ、と。

 

加えて、この40年間でのロゴマークの変遷(写真:公式ウェブサイトで提供されているもの)も掲示し、デザイン上の連続性・継続性を見せているのも、スターバックが大事にしている価値観は壊さない、というメッセージがあるのだと思えます。


これまでのロゴマークへ愛着があるファンからの、賛否両論はあるのでしょうが、やがて新しいロゴ馴染んでいくのではないでしょうか。

新しいロゴマークへのワタシの個人的な感想としては、セイレンのモチーフを大きく扱うのは悪くないけれど、『STARBUCKS』という文字まで取らなくても良かったんじゃないの?とは思いましたけれど。

 

ロゴマーク変更は新たな行動への意思表示

企業がロゴマークを変更すべきタイミングは、企業が市場での行動(戦略)が変わる時、あるいは変える時、というのが本来的な姿です。

ロゴマークを変える、あるいは会社名そのものも新しく変えるということは、企業として新たな行動を起こす、ということを宣言すること。これは社外へ対してのみでなく、同時に社内への宣言でもあります。新たな行動へ戦略を組み立て、組織体制や行動していく上でのルールを新たにし、そのシンボルとして新しいロゴマークは位置付けられます。

 

どんな企業でも、ロゴマークを変更する際には、会社の看板などの表示物、ウェブサイト、名刺、封筒、請求書や領収書など社内外へ展開する紙類、制服、社用車…と全てのものを一斉に切り替えなければなりません(そうじゃないと“宣言”としてスイッチを切り替えるという重要な面で、意味がなくなるので)から、一時期にそれなりの費用が掛かります。

 

単に(見た目の)デザインが、何となく古く感じるようになったから(“古臭い”と感じる背景には、企業としての行動があるはずですから、スタートはそこからでも構いませんが)、ロゴマークだけをカッコ良くしよう、なんてのは余りにも勿体ない。そう思いませんか?

 

ロゴマークに留まらず、デザインは可視化しながら問題解決するための経営ツールです。いいツールへの意識も大事ですが、それ以上に『使いこなし』が重要なのです。『使いこなし力』は企業規模が大きい企業ほど有利である経営資源ではない、というところも見逃せない点です。

 

もし、そこに自信が持てないのであれば、自社に合うパートナー探しをされることをお勧めいたします。

 


 

林田 浩一
( Twitter: http://twitter.com/k_hayashida )

 

※本コラムは、私のブログ『ドリームにこそバリューがある』のこれまでの記事より再構成したものです。

 

 

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