- 東海林 貴大
- 医療法人社団渋谷矯正歯科 院長
- 東京都
- 歯科医師
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0120-188-901
対象:矯正・審美歯科
歯が動くということは本当に不思議ですが、ずっと継続して同じ方向から力をかけていると、歯は動きます。
その証拠に小さい子どもがずっと指しゃぶりをしていると、指の当たっている歯がだんだん外側に倒れてしまいます。また、舌の力は弱いと思うかもしれませんが、舌先でいつも決まった歯のところを押し続けていると、その歯がだんだん押されて倒れてしまったりするのです。
歯はがっちり根が生えて動かないようでいて、実は意外と簡単に動いて、かなり不安定なものということがいえます。逆にこの性質を利用して、歯をどんどん動かして噛み合わせをきちんとしようというのが矯正治療の考え方です。
歯が動くときに大事な働きをするものが歯根膜です。
この歯根膜は歯とあごの骨(歯槽骨)とを結びつけている組織です。
歯が直接、歯槽骨に固定されているのではなく、この歯根膜があることによって、噛んだときのショックが直接響かずクッションのような働きをします。
歯根膜のもう1つの大事な働きは、噛んだときの微妙な感触や刺激を脳に伝えていることです。
いわば、圧力センサーのように働いていて、その感覚は非常に鋭敏なものです。髪の毛1本でもあればすぐにわかるように、ミクロン単位で感知しているといわれています。
この歯根膜のセンサーの働きによって、食べ物の硬さを瞬時に感じ取り、どれくらいの力で噛めばよいかということも教えてくれるのです。
矯正治療によって歯を動かすことができるのも、この歯根膜があるおかげです。もし、歯が直接、骨にくっついていたとしたら、歯を動かすことはできません。実際に事故などで歯を強打して歯根膜がつぶれてしまい、歯が歯槽骨に癒着してしまった場合には、その歯を動かすことはむずかしいのです。
詳しく説明すると矯正力が歯に加わると、その加わった側の歯根膜が圧迫されます。歯根膜の厚さがぎゅっと縮まるわけですが、歯根膜は縮まった厚さを元に戻そうとします。
そのときに圧迫された側の歯根膜には破骨細胞という骨を溶かす細胞が出現します。この破骨細胞によって歯槽骨が少しずつですが溶かされていって歯が移動していくのです。
反対側では歯根膜は引っ張られて伸びていきます。その伸びた分を元に戻そうとして今度はここに骨芽細胞が活発に活動を始めて骨をつくっていくのです。
歯根膜は0.15~0.38mmというごく薄い膜ですが、とても大切な働きをしていることがわかります。
このコラムの執筆専門家
- 東海林 貴大
- (東京都 / 歯科医師)
- 医療法人社団渋谷矯正歯科 院長
見えない裏側矯正の専門家
歯並びやかみ合わせに悩まれている患者さんのために誰にも気がつかれずにきれいになることができる裏側矯正の臨床に日々取り組んでいます。モットーは「つねに患者さん目線で診療すること」すこしでもたくさんの患者さんを幸せにするために頑張ります。
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